米国経済のリスクと直結する「ドル離れ」

 それ以外の国・地域に目を向けると、相変わらず続いている中国の大幅売り越しや、年金基金の挙動が注目されるノルウェーによる米国債の売り越しも目立っている。ただ、総じて「米国債への流入が細る一方、その分を米国株への流入で埋める」という構図は変わっていない。

 この解釈は米国政府への不信と米国企業への信頼が同居する複雑な市場心理を表現しているように思える。ただ、「ドル離れ」の思惑と共に米国債への流入が細る状況が続いてしまうと、FRB(米連邦準備理事会)が意図しない米金利高止まりが続き、これが米国株の調整を強いるという展開が論理的に想定される。

 今や米国の家計金融資産の4割以上が株式で占められている事実を踏まえると、そうなった場合に逆資産効果を通じて、消費・投資が停滞を強いられ、リセッションリスクが高まるというのが最も現実的なリスクではないか。

 FRBの連続利下げが円高を招来するようなリスクがあるとすれば、恐らくそのような事態を前に、FRBがハト派へ急旋回する展開ではないか。「ドル離れ」に起因した株価調整とこれに呼応するFRBの挙動を2026年中のリスク要因として警戒しておきたい。

※寄稿はあくまで個人的見解であり、所属組織とは無関係です。また、2026年2日24日時点の分析です

2004年慶応義塾大学経済学部卒。JETRO、日本経済研究センター、欧州委員会経済金融総局(ベルギー)を経て2008年よりみずほコーポレート銀行(現みずほ銀行)。著書に『弱い円の正体 仮面の黒字国・日本』(日経BP社、2024年7月)、『「強い円」はどこへ行ったのか』(日経BP社、2022年9月)、『アフター・メルケル 「最強」の次にあるもの』(日経BP社、2021年12月)、『ECB 欧州中央銀行: 組織、戦略から銀行監督まで』(東洋経済新報社、2017年11月)、『欧州リスク: 日本化・円化・日銀化』(東洋経済新報社、2014年7月)、など。TV出演:テレビ東京『モーニングサテライト』など。note「唐鎌Labo」にて今、最も重要と考えるテーマを情報発信中