駐韓米軍の問題も同様である。通商摩擦が拡大した場合、米国内では防衛費分担金の増額要求がさらに激しくなる可能性が高い。極端な場合、駐韓米軍の規模調整や戦略資産の展開縮小といったカードが、交渉の圧迫手段として活用されることもあり得る。

 実際の削減に至らなくとも、「削減の可能性」自体が韓国にとって深刻な安保負担となり、李在明政権は一気に窮地に追い込まれる可能性がある。

高市・トランプ会談の行方も米韓関係に影響

 米韓両国は、2026年から適用される第12次防衛費分担特別協定(SMA)によって、駐韓米軍に対する防衛費分担金を1兆5192億ウォン(約10億4000万ドル)とすることで合意している。しかし、トランプ大統領は韓国を「マネーマシン(Money Machine)」と呼び、年間100億ドル(約13兆ウォン)規模の大幅な増額を要求しており、関税の再交渉過程でこの問題が再び浮上する可能性がある。

 通商摩擦が安保懸案に影響を及ぼすことは、李在明政権の「実用外交」も危機に瀕することを意味している。李大統領はこれまで、米韓同盟の戦略的価値を認めつつも、中国との経済的協力の絆をも離さない、“バランスの取れた”実用主義を標榜してきた。

 ところが、この実用外交戦略は、米国と中国との間でバランスを取るといっても、結局のところ「韓米同盟」という基盤の上で作動するものである。通商摩擦が長期化した場合、韓国政府は経済的なカードがないまま、安保・同盟の側面で米国からの圧力を受けることになる。これは韓国の実用外交の根幹を揺るがす潜在的なビッグイシューだ。

 さらに、3月に予定されている高市・トランプの日米首脳会談で同盟の現代化に関するメッセージが出されるようなことになれば、韓国はさらなる圧力を受けざるを得ないだろう。米国が日本との議論を通じて、同盟の役割拡大、防衛費負担の増大、戦略的責任の強化といった基準を打ち出せば、韓国も自然にその基準に従わなければならない状況に置かれる。

 通商交渉の遅延と安保圧力が重なる瞬間、李在明外交の「実用的バランス」は試練の時を迎えるだろう。