中道改革連合の代表選立候補の届け出後、共同記者会見で握手する小川淳也氏(左)と階猛氏=12日午前、東京・永田町の党本部(写真:共同通信社)
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(西田 亮介:日本大学危機管理学部教授、社会学者)

多くの者が「躍進」「善戦」を公言していたが…

 2026年衆議院総選挙は、日本の政治史において極めて重大な転換点として記録されることになるだろう。自民党が単独で316議席を獲得するという、現行の選挙制度下では誰も見たことのない圧倒的な結果となった。

 筆者を含めて、永田町や日本政治を見慣れた者ほど驚愕しているはずで、最近でこそ多くの当事者はクチをつぐんでいるが、序盤調査が共有されるまでは、多くの者が「中道躍進」や、控えめにいっても「善戦」を公言していた。

 単なる「与党の勝利」という表現では片付けられない帰結だ。この歴史的圧勝劇と野党の壊滅的な敗北は、決して偶然の産物ではない。それは、高市総理による戦略的な「打ち手のうまさ」と、野党、とりわけ中道改革連合(以下、中道)による目も当てられないほどの「打ち手の拙さ」が、ネガティブな形で噛み合った相乗効果の帰結といえる。

 まず、勝者である高市総理の打ち手を振り返ってみよう。高市総理による解散総選挙の断行は、当初、多くの批判に晒された。裏金問題の未解決、国会論戦の回避、後には「争点潰し」といったメディアや野党からの集中砲火である。

 しかし、結果から見れば、この解散戦略は戦術的にドンピシャではまったと言わざるを得ない。

衆院選の開票が進む中、メディアのインタビューに答える自民党総裁の高市首相=8日、東京・永田町の党本部(写真:共同通信社)

 高市総理は、菅、岸田、そして石破政権と続いた「党内の求心力を掌握しきれないことに起因する不安定さ」や「少数与党による政権運営の困難さ」を反面教師とし、自らの政権基盤を盤石にするために、文字通り政治生命を賭けた乾坤一擲の勝負に出たのである。

 高市政権は、メディア露出を控え、ニュース番組や討論番組への出演を最小限に抑えることで、野党に攻撃の足掛かりを与えず、争点を曖昧化することに成功した。

 これは民主主義のプロセスとしては毀誉褒貶あるものの、権力闘争としての選挙戦術としては有効であったというほかない。

 結果として、衆議院における圧倒的多数を確保したことで、今後の予算審議や重要法案の採決において、数の論理だけでいえば維新の会との連立に頼るまでもなく(実際には連立文書や世間の目、法案成立までの時間的コストがあるので、しばらくは連立を継続するだろうが、秋の内閣改造時の連立入りは不透明かもしれない)、自民党単独で主導権を握れる体制を構築したのである。

 これは、過去数年の日本政治を覆っていた「決められない政治」からの脱却を意味し、スキャンダルに対する潔癖さよりも、強力なリーダーシップによる安定を選んだと言える。

 皮肉にも選挙後の世論調査で野党の議席数の少なさや裏金問題に関する高い問題意識を示唆するものもあるが、後の祭りというほかない。