“冬の時代”突入、政権交代は今後10年は潰えた
また、今回の選挙では「チームみらい」のような新興勢力が一定の支持を集めたことも見逃せない。彼らは具体的な政策の深みよりも、「テック」や「クリーンさ」、そして「イデオロギーからの脱却」を掲げることで、既存の政治に絶望した層の受け皿となった。
比例南関東で山田瑛理氏(左)が当選を決め、笑顔を見せるチームみらいの安野貴博党首=8日、東京都港区(写真:共同通信社)
目新しさもあっただろう。だが、「なんとなく新しくて面倒くさくないもの」を求める現代社会の空気を反映している。
中道の「古臭い調整の政治」は、この「無色透明な新しさ」の前にも敗北したのである。各ブロック、特に都市部の比例の数字も如実に物語る。
この結果、日本政治はかつての「多党乱立時代」に終止符を打ち、30年の短くない時間をかけて、再びかつての1955年体制のような「一強多弱」の構造へと回帰した。
自民党一党優位の下で、野党が万年野党として存在し続ける体制である。この新しい政治地図の上で、今後の展望はどうなるか。
まず見えてくるのは、高市政権の長期政権化である。衆議院の圧倒的な議席数は、政権基盤を盤石にし、党内政局を封じ込めるに十分な威力を持つ。
少なくとも今後数年、高市総理の座を脅かす存在は現れにくいのではないか。
注目される憲法改正については、高市政権は決して拙速には動かないと見られる。失敗すると、一気に支持を失いかねないからだ。
衆議院での圧倒的多数を背景に、まずは国民投票法などの手続き法の整備を進め、改憲に向けた世論の雰囲気の醸成に時間をかけはするだろう。
だが、本丸である改憲発議に踏み切るのは、2028年の参議院選挙で勝利し、参院においても安定的な基盤を構築した後ではないか。衆参両院での「ねじれ」のリスクを完全に排除し、足場を固めた上で歴史的な課題に取り組むという、堅実なロードマップを描いていると考える。
裏を返せば、野党による政権交代の夢は、少なくとも今後10年、あるいは2回の総選挙を経るまでは潰えたと見るべきだろう。大規模な汚職スキャンダルや、大災害、安全保障上の有事といった外的要因による与党の自滅がない限り、現在の野党勢力が自力で政権を奪取することは不可能に近い。
「野党冬の時代」が再び訪れたのである。