街頭演説で支持を訴える自民党総裁の高市早苗首相(写真:共同通信社)
「日本列島を強く、豊かに」「世界の真ん中で咲き誇る日本外交」。高市首相が唐突に選んだ解散総選挙は、現状のメディアの予想をみるかぎり、首相の戦術的勝利にむかって進んでいます。
しかし、解散時の公約やその後の発言に対する海外メディアや有識者の公約実現に関する反応は、国民の支持率と反比例するように厳しいものが多いように思えます。
この公約を信じていいのか。国民にもう一度考えてもらうために、高市政策に関する、有力な懸念材料を整理しておきたいと思います。
懸念される「トラスショック」の再来
高市氏が、解散宣言で一番時間を割いたのは、「規律ある積極財政」により、円安を抑え、物価高の対策を万全にするということでした。
しかし、財政出動をさせつつ、円安を止め物価上昇を抑えるのは、相当難しいというのが、多くの経済専門家が指摘するところです。
特に海外メディアの見方は厳しいものでした。
なぜなら、欧米は3年前に英国のトラス首相が実施した大幅減税と財政出動が大失敗した「トラスショック」の経験があるからです。大幅減税をしながら、財源が明確でなかったこの政策は、以下のような結果を招きました。
➀通貨安:英ポンドが対ドルで約37年ぶりの安値水準まで急落しました。
②債券安:英国債の利回りが急騰し、国債価格が下落しました。
③株安:FTSE100株価指数が2%下落するなど、株式市場も大きな影響を受けました。
この金融市場の混乱を受け、トラス首相は就任からわずか44日で辞任に追い込まれたのです。
高市氏の政策も「財源は国債で賄う」と明言しているため、同様の市場不安が生じる可能性を指摘されるのも当然でしょう。
たとえば、英『Financial Times』は、「高市氏の減税・財政拡大路線は、トラス首相の失敗を思い起こさせる」「日本市場も英国のような混乱に直面する恐れ」と警告していますし、英『The Economist』も「高市首相なら“Truss moment”が日本にも?」という特集記事を出しました。
