トランプ政権による関税措置で米印関係は悪化している(写真:AP/アフロ)
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(土田 陽介:三菱UFJリサーチ&コンサルティング)

 米ブルームバーグは1月23日付の記事で、インドが米国債の保有を着実に減らし、“ドル離れ”を進めているという興味深いニュースを伝えている。そこで実際に、統計的な接近を試みようと、米財務省が毎月公表している国際証券投資統計(TICデータ)から、この10年のインド国籍の投資家が保有する米国債残高を確認することにした(図表)。

インドの米国債保有残高の推移 (出所)米財務省

 TICデータによると、インド国籍の投資家による米国債保有残高は、2025年11月時点で前年比20%減の1865億米ドルだった。加えて、ブルームバーグはインドの外貨準備に占める米ドル建て資産の割合が30%に落ち込んだと報じているが、インド準備銀行(中央銀行)の資料では、管見の限り、外貨準備資産の通貨構成が確認できなかった。

 そこで、インド国籍の投資家の米国債保有残高を分子に、インドが保有する外貨準備を分母とする割合を求めて代理指標を作成してみた。新興国であるほど政府が投資家として多額の米国債を保有するため、外貨準備に占めるドル建て資産の割合の動きがつかめると判断したからだ。

 この数字は、1年で38.9%から31.2%に低下していた。10年前、2016年12月時点の数字は33.1%なので、2%ほどの下落である。

 他方で、外国人投資家による米国債保有残高に占めるインド国籍の割合の推移を確認すると、2016年末には2.1%だった割合は2023年頭に3.5%を超えたが、直近2025年11月時点では2.2%と、両指標とも定型的な“行って来い”の状態である。

 確かに、一見すると“行って来い”の動きではあるものの、2016年から2022年までの7年間で積み増した米国債を2023年から2025年までの3年間で解消したのだから、米国債売却の動きは相応に急速だったと言える。インドがドル離れを進めているというブルームバーグの指摘は、それなりに正鵠を射たものだと言えるのではないか。