ドル離れの中で米国と一蓮托生の日本
対する日本である。高市総理が衆議院を解散するとの一報が入って以降、円安と長期金利の上昇に弾みがつき、日本の金融市場は混乱に陥った。日本発の長期金利の上昇圧力が米国にも飛び火し、ただでさえグリーンランドを巡る欧州との紛争や米国自身の政府閉鎖への懸念で上昇していた米国の長期金利まで上昇が加速する事態となってしまった。
事態を憂慮した米国のスコット・ベッセント財務長官は、日本に長期金利の上昇の抑制を要請。その代わりに、いわば“助け舟”を出すかたちで、円安ドル高緩和のための協調介入を容認したようだ。事実、ニューヨーク連銀は為替介入の前段階であるレートチェックを行い、協調介入に向けた実弾を近く投入する姿勢を金融市場に示している。
世界の貿易・金融決済の主役が米ドルである事実に変わりはない。一方で、トランプ政権の傍若無人さを受けて、世界各国が緩やかながらもドル離れを進めている。その流れは基本的には価値保存の部分で進んでいるが、決済面でもドル離れがゆっくり進んでいるのだろう。そうした実像の一端を、インドのケースは物語る。
日本の経済構造は、その良し悪しは別として、米国と密接に関わっている。それゆえに、世界経済において緩やかに進んでいるドル離れの実像が見え難くなっている。そして今般の金融市場の混乱で、日本はますます米国との関係に頼るようになったように見受けられる。日本は世界経済におけるドル離れの動きとますます逆行しているようだ。
※寄稿は個人的見解であり、所属組織とは無関係です
【土田陽介(つちだ・ようすけ)】
三菱UFJリサーチ&コンサルティング(株)調査部主任研究員。欧州やその周辺の諸国の政治・経済・金融分析を専門とする。2005年一橋大経卒、06年同大学経済学研究科修了の後、(株)浜銀総合研究所を経て現在に至る。著書に『ドル化とは何か』(ちくま新書)、『基軸通貨: ドルと円のゆくえを問いなおす』(筑摩選書)がある。


