非核三原則のうち「持ち込ませず」に疑問を呈してきた高市首相(写真:ロイター/アフロ)
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日本の国是「非核三原則」を見直す動きが出ています。見直しに向けた自民党内での動向が伝えられると、米国の原爆投下を受けた広島市や長崎市、被爆者団体などは強い反発を示しました。世界唯一の戦争被爆国として「核兵器を持たず、つくらず、持ち込ませず」という三原則を掲げてから約60年。非核三原則の成り立ちや役割、見直しに向けた動きなどをやさしく解説します。

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「持ち込ませず」に疑問呈してきた高市首相

 非核三原則の見直しが浮上している背景には、高市早苗首相の存在があります。

 「核兵器を持たず、つくらず、持ち込ませず」という非核三原則は、佐藤栄作内閣時代の1967年に日本政府の方針として打ち出され、歴代の自民党政権(連立を含む)にも引き継がれました。これに対し、疑問を唱えてきたのが高市氏です。

 高市氏は自身の編著書『国力研究 日本列島を、強く豊かに。』(2024年5月)のなかで、「『持たず』『作らず』は引き続き堅持するにしても、『持ち込ませず』については『米国の拡大抑止の提供』を期待するのであれば、現実的ではありません」と指摘。そのうえで「究極の事態に陥った場合に、『非核三原則を堅持する』の文言が邪魔になることを懸念していました」との考えを明らかにしている。

 高市氏はまた、石破茂氏と争って敗れた2024年9月の自民党総裁選でも「核兵器を積んでいる米国の戦艦が(日本に)寄港するかもしれない。それをノーと言っていたら、日本の安全は守れない。『持ち込ませず』は見直してもいいのではないか」と踏み込みました。

 日本の安全保障政策は現在、岸田文雄政権時代の2022年に閣議決定された「安保3文書」を軸に展開されています。3文書は「国家安全保障戦略」「国家防衛戦略」「防衛力整備計画」のことで、このうち国家安全保障戦略には「非核三原則を堅持するとの基本方針は今後も変わらない」と明記されています。

 ところが、政府・与党内で安保3文書を2026年末までに前倒しで改定する動きが出てきたことから、非核三原則の見直しが現実の政策課題として浮上してきたのです。高市氏は首相に就任して間もない2025年11月11日の衆院予算委員会で、安保3文書に明記されている非核三原則の堅持を引き継ぐのかと問われ、「私から申し上げる段階ではない」と答弁。非核三原則を今後も守っていくとは明言しませんでした。

 その後、各メディアは『非核三原則、見直し検討へ 安保3文書改定の議論で 自民』(朝日新聞、2025年11月15日朝刊)などと相次いで報道。安保3文書改定の方向性を議論する自民党・安全保障調査会でも非核三原則が大きなテーマになることが必至です。