衆院選で大きな力を得た高市首相(写真:代表撮影/ロイター/アフロ)
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先の衆院選で、高市早苗首相が率いる自民党が歴史的な大勝利を収めました。獲得議席は316。全議席の3分の2(310議席)を上回る圧勝です。単独の政党が衆院で3分の2を超えるのは戦後初めてとなります。「3分の2以上」を確保したことで、自民党は憲法上、これまで単独ではできなかった行為を実行できる立場になりました。法案の再可決、議員の除名、秘密会の開催、そして憲法改正の発議――。3分の2以上で何が可能になるのかを、順を追って解説します。

フロントラインプレス

戦後初の単独政党「3分の2以上」

 衆院選の投開票が行われた翌日の2月9日、高市氏(自民党総裁)は党本部で記者会見し、次のように述べました。

「自民党、日本維新の会の与党で、合計352という非常に大きな議席をいただきました。日本列島を強く、豊かに。重い責任の始まりです。身の引き締まる思いでございます。重要な政策転換については、すべて自民党の政権公約に盛り込みました。それを全国各地で訴え、国民の皆さまからご信任をいただきました。党一丸となって約束を実現していく。私はその先頭に立ってやり抜いてまいります」

 自民党は公示前の198議席から118議席増の316議席となりました。連立を組む日本維新の会も34議席から36議席へと増やし、両党で計352議席に達しました。一方、選挙前に立憲民主党と公明党が合流して誕生した「中道改革連合(中道)」は49議席にとどまりました。野党第1党ではあるものの、その議席数は戦後最少となります。

 自民党が単独で3分の2以上を得たことで、憲法の規定によって「これまではできなかったこと」を自党の判断で実行できる環境が整いました。あくまで可能性の話ですが、3分の2以上で何ができるようになるのでしょうか。

(図表:フロントラインプレス作成)

 その前に、憲法の位置づけを確認しておきましょう。

 近代民主主義国家の基礎である「立憲主義」は、時の権力を縛る考え方です。国の主人公である国民が国家に対して出す「命令書」が憲法だと言えます。そのため、日本国憲法は、政府や国会が少数意見を無視して暴走しないよう、さまざまな制約を設けています。その代表的な枠組みが、3分の2以上という高いハードルをクリアした場合にのみ、その行為が認められるという仕組みです。