「憲法改正」の現実味が増す

 3分の2ルールで最も知られているのは、憲法改正に関する規定でしょう。

【憲法第九十六条】
この憲法の改正は、各議院の総議員の三分の二以上の賛成で、国会がこれを発議し、国民に提案してその承認を経なければならない。

 衆参両院でそれぞれ3分の2以上の賛成が必要とされるこのハードルは、決して低いものではありません。しかし、今回の選挙によって自民党は衆院で単独3分の2を確保したため、衆院における改憲発議の条件を単独で手に入れました。

 一方、参院では自民党が101議席、日本維新の会が19議席で、与党は計120議席にとどまります。過半数の125議席には届いていません。しかし、野党の中には改憲に賛成する政党も多く、これらを合わせた改憲勢力は3分の2を超えています。内外に課題が山積する中で、直ちに改憲が進むかどうかは不透明ですが、憲法改正への環境が整ったことは間違いありません。

 高市首相は衆院選後、「参議院において与党が過半数を有していない状況に変わりはありません。引き続き政策実現に前向きな野党の皆様に協力をお願いしてまいります。様々な声に耳を傾け、謙虚に、しかし大胆に政権運営に当たってまいります」とも述べています。野党の協力を得ながら、自民党が“悲願”としてきた改憲へ突き進む――。そうした意欲を言外に込めたのかもしれません。

フロントラインプレス
「誰も知らない世界を 誰もが知る世界に」を掲げる取材記者グループ(代表=高田昌幸・東京都市大学メディア情報学部教授)。2019年に合同会社を設立し、正式に発足。調査報道や手触り感のあるルポを軸に、新しいかたちでニュースを世に送り出す。取材記者や写真家、研究者ら約30人が参加。調査報道については主に「スローニュース」で、ルポや深掘り記事は主に「Yahoo!ニュース オリジナル特集」で発表。その他、東洋経済オンラインなど国内主要メディアでも記事を発表している。高田氏の近著に『調査報道の戦後史 1945-2025』(旬報社)がある。