安全保障体制の強化を目指す高市首相(写真:REX/アフロ)
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高市早苗内閣が策定した2026年度政府予算案で、防衛費が史上初めて9兆円を突破しました。現行の防衛力整備計画が始まる前の2022年度と比べると、およそ7割増です。増大の主因は装備品費の伸びで、その中心は“爆買い”とも言われる米国からの武器購入です。一方では、これを賄うため所得税に1%を上乗せする防衛増税も2027年から始まります。安全保障環境の整備は欠かせないにしても、防衛費がこのままで良いのかどうかの議論は絶えません。今度の衆院解散・総選挙でも論争になりそうな「防衛費9兆円突破」をやさしく解説します。

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増え続ける防衛費、GDP比2%も前倒し

「わが国が、戦後最も厳しく複雑な安全保障環境に直面する中で、防衛省・自衛隊として新しい戦い方に適応できる体制を整えることも急務であります」

 2025年12月24日、小泉進次郎・防衛大臣は臨時記者会見でこう語りました。新年度政府予算案に関して財務大臣との折衝が行われた結果、防衛省側の要求が「満額回答」だったことを受けての発言です。この結果、2026年度政府予算案における防衛費(防衛関係予算)は9兆353億円となり、初めて9兆円を突破しました。

 また小泉防衛相は今年1月16日、ワシントンで米国のヘグセス国防長官と会談し、その際、米側からは日本の防衛費増額を「評価」したと伝えられています。

 2026年度予算案の国会審議は、衆院の解散・総選挙で例年より遅くなりそうですが、「聖域化」してきたとも言われる防衛費をめぐる論議は焦点の1つになることは間違いありません。

「聖域化した」と言い切らないにしても、防衛費の伸びには著しいものがあります。

 当初予算における防衛費は、2013年度から14年連続で前年度を上回りました。とくに岸田文雄政権時代の2022年12月に閣議決定された「安保3文書」以降の伸びが顕著です。

 安保3文書は「国家安全保障戦略」「国家防衛戦略」「防衛力整備計画」の3つから成り立っていますが、防衛費の増大を前提とした「防衛力整備計画」が現在の著しい防衛費の伸びを支えています。

 防衛力整備計画は2023〜27年度の5年間で43兆円を投じ、防衛費とそれを補完する取組(インフラ、海上保安庁、経済安全保障関連経費など)を合わせて、「2027年度にGDPの2%水準」を実現する方針を示しました。この政府方針に沿って防衛費は増え続けているのです。

 同計画1年目の2023年度の防衛費は6兆8219億円(前年度から約1兆4000億円増)。その後は、7兆9496億円、8兆7005億円となり、2026年度に9兆円を突破したのです。

 また、2027年度に達成する目標だった「GDP2%」については、2025年10月に成立した高市早苗政権が「前倒し」を表明。2025年度補正予算に大型の防衛関連経費を組み込んだことにより同年度に2%に到達し、目標より2年早く実現することになりました。