共同創業者で代表のダレル・シュールマン氏
カナダ・クイア商工会議所(Canadian Queer Chamber of Commerce = CQCC)の貿易使節団が先ごろ初来日した。CQCCはあらゆる人を受け入れるインクルーシブな経済の実現を提唱し、そのための活動を23年間続けている性的マイノリティに特化した商工会議所だ。CQCCとは何か、共同創業者で代表のダレル・シュールマンさんに聞いた。
──なぜ性的マイノリティに特化した商工会議所を作ったのですか?
シュールマン:今でこそカナダはマイノリティに優しい社会と思われていますが、私が社会に出た30年前はそうではありませんでした。同性婚はまだ認められていなかったし、ゲイやレズビアンであることがわかった公務員は解雇されるようなことがありました。
とりわけ私の故郷であるカナダ・アルバータ州のロッキー・マウンテン・ハウス町は保守的な地域で、ゲイであることを公表する前の私も差別を恐れて不安を抱えていました。
そのうち旅行業を始め、カムアウトしてゲイの男性として仕事をするうちに、ビジネスを通じて社会変革に寄与する道はないだろうかと模索を始めました。LGBTQ(レズビアン・ゲイ・バイセクシュアル・トランスジェンダー・クエスチョニング)の経営者を支援したり、LGBTQ市場に向けたビジネスを模索したり、できることがあると気づいたのです。
社会がインクルーシブであることは、LGBTQ当事者だけでなく社会全体にメリットがあります。インクルーシブな社会の方が経済成長することをご存知でしょうか。グローバルビジネスの連合体であるOpen for Businessの分析によると、インクルーシブな政策をとる国の一人あたりのGDPは、少数排除の政策をとる国よりも3700米ドル高いことがわかっています。
経済成長のためには、女性や民族的マイノリティ、性的マイノリティなどさまざまな人を受け入れる方が良いことは統計的にも明らかです。インクルーシブであることで、新たな視点が得られることがあれば、新たなビジネス方法が見つかることもあります。多角的な取り組みが可能になるのです。
ちなみに、私が最初に多様性の素晴らしさを知ったのは、15歳の時に故郷の町の姉妹都市である北海道上川町を訪れた時のことでした。まったく違う文化に触れて、多様性の意味と豊かさを初めて実感しました。あの体験が私を形作ったと言えます。
商工会議所の話に戻ると、もちろんいわゆるメインストリームの商工会議所はありますが、性的マイノリティの起業家にとっては独特の壁や難しさがあります。そうした個別の問題に注力するために、専門の商工会議所を創設しました。
──独特の壁とはどのようなものですか?