写真提供:©Molly Riley/White House/Planet Pix via ZUMA Press Wire/共同通信イメージズ

 グローバル化とデジタル化が進む中、変化の激しい時代に対応するため、歴史や哲学を含むリベラルアーツ(教養)の重要性が再認識されている。本連載では、『世界のエリートが学んでいる教養書 必読100冊を1冊にまとめてみた』(KADOKAWA)の著書があるマーケティング戦略コンサルタント、ビジネス書作家の永井孝尚氏が、西洋哲学からエンジニアリングまで幅広い分野の教養について、日々のビジネスと関連付けて解説する。 

 トランプ現象の背景にある宗教観は、カトリックとプロテスタントの違いを知らなければ見えてこない。1520年に刊行されたルターの『キリスト者の自由』から、その本質を読み解く。

トランプの支持基盤は「キリスト教右派」?

「トランプ大統領の支持者は、キリスト教右派」というメディアの報道を耳にしたことがないだろうか? これはかなり雑なくくり方である。こんな理解をしていると、ともすると

「キリスト教徒って、みんな保守的なのね」
「信仰に厚いからトランプを信じてしまうのか」

 …と考え、根っこにある価値観を理解できない。これは私たち日本人が、宗教の違いに疎いからだ。キリスト教徒にはカトリックとプロテスタントがいて両者の価値観は全く違うが、その違いを説明できる日本人は少ない。だからトランプ現象の本質も見えない。

 そして、これはあくまでも一例である。欧米社会と接するのなら、せめてカトリックとプロテスタントの違いは理解したい。そこで両者の違いを理解する上で参考になるのが、今回取り上げる『キリスト者の自由』だ。