1兆円以上の装備品、米国からの納入に遅れ

 防衛費の内訳はどうなっているのでしょうか。

 防衛費は、隊員の給与や食事のための「人件・糧食費」と、装備品の修理・整備、油の購入、隊員の教育訓練、装備品の調達などのための「物件費」に大別されます。

 物件費は「事業費」と呼ばれることもあり、過去の契約に基づき支払われる後年度負担分、つまりローンの支払いに充てる「歳出化経費」、および、その年度の契約に基づき支払われる「一般物件費」に分けることができます。

図表:フロントラインプレス作成

 2026年度予算案を見ると、「物件費」が6兆4196億円、全体の7割を占めています。この枠内で、政府は以下の施策などを進めることにしています。

◎「スタンド・オフ能力」(長距離ミサイルなどを使って敵の射程外から敵の攻撃能力を破壊すること)に9733億円
◎「統合防空ミサイル防衛能力」(敵のミサイルや超音速の攻撃を多様な手段で迎撃すること)に5090億円
◎「無人アセット防衛能力」(ドローンや無人水上艇などを活用すること)に2773億円
◎「領域横断作戦」(陸・海・空の従来の領域に加え、宇宙・サイバー・電磁波といった新たな領域を統合的に活用すること)に1兆3564億円

 ただし、こうした物件費6兆円余りのうち、実は4兆5398億円が「歳出化経費」、すなわち前年度までに契約を交わした調達品などのローン支払いです。防衛費の歳出のうち半分以上に達しています。

 戦闘機やミサイルなど装備品の調達は1件あたりの金額が大きいため、支払いは長期の分割払いとする方式が主流。このため、契約年度以降もローン支払いという「後年度負担」が続きます。その支払額が増加していくと、装備品の新規調達を圧迫しかねません。

 さらに装備品の調達をめぐっては、いくつもの問題が露呈しつつあります。

 会計検査院はこの1月、米国政府から武器を調達する「対外有償軍事援助」(FMS=Foreign Military Sales)に関し、2018〜23年度の契約・調達状況を調べた結果を明らかにしました。それによると、早期警戒機など合計118件・総額1兆1400億円分もの装備品が契約から5年以上経過しても納入されていないことが判明したのです。米国の武器メーカーの都合で製造が遅れているため、とされています。

 自衛隊側は旧式の飛行機を使うなどして対応していますが、「お金を支払ったのに品物が5年以上も届かない」という状態が、果たして正常な取引と言えるのでしょうか。

 一方、会計検査院は同じ検査で、装備品調達に伴うローン支払いの総額が円安の影響で急膨張していると指摘しました。2019年度は計6864億円の契約額に対し、実際には7274億円を支払い。2020~23年度の4年間では、総額で1兆5155億円と見込んでいたローンが2500億円ほど膨らみ、1兆7668億円になると試算しました。

 同様に2023〜25年度の米国への支払い分は、当初見込みより約3000億円も高くなると見込まれています。