ジェフ・ベゾス氏写真提供:©Alessandro Di Marco/ANSA via ZUMA Press/共同通信イメージズ
業界地図を書き換えるような新しいビジネスモデルを実現するテック企業が世界を席巻している。その理由は何か。単なる技術革新があるからではない。ビジネス界の中枢で根底から常識を覆す「ギーク」(変わり者)が活躍しているからだ。『ギーク思考』(アンドリュー・マカフィー著/小川敏子訳/日本経済新聞出版)から一部を抜粋・再構成し、教訓的な事例を紹介する。
「すべてのチームが誰の許可もなくデータとソフトウエアにアクセスできるアーキテクチャを構築せよ」アマゾン創業者のジェフ・ベゾスは、最高難度の大規模システム改修を断行した。数年がかりで完璧に実現した裏には、ある思いがあった――。
新しい仕組みの核
『ギーク思考』(日本経済新聞出版)
アマゾンにはオーナーシップと自律性の文化がもとからあったわけではない。危うくベゾスが「2日目」と呼ぶ、プロセス重視の会社へと進んでいきそうになったこともある。
アマゾンは1994年の創業後に急成長を遂げ、入り組んだ官僚主義がはびこった。社員は誰ひとりそれを喜んでいなかったが、イノベーションへの取り組みを調整するためには必要悪のように思われた。
アマゾンでは年4回、新製品のアイデアを持つチームが「新規提案(NPI:New Proposed Initiative)」を提出した。この書類は部署の垣根を越えた作業の調整をするためのもので、必要とされる他のチームの協力が詳述された。提案書は審査に2回かけられ、それを通過すると最終決定権者のもとに送られた。結果は、次の3通りのEメールで通知された*68。
おめでとう、あなたたちのプロジェクトが承認されました! プロジェクトに必要な他部署のチームも準備ができています。
残念なお知らせです。あなたたちのプロジェクトは選ばれませんでした。よいお知らせもあります。NPIで承認されたプロジェクトのうち、あなたたちのチームの協力を求める案件はありません。
68 Bryar and Carr, Working Backwards, 63.







