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業界地図を書き換えるような新しいビジネスモデルを実現するテック企業が世界を席巻している。その理由は何か。単なる技術革新があるからではない。ビジネス界の中枢で根底から常識を覆す「ギーク」(変わり者)が活躍しているからだ。映画業界のずぶの素人だったリード・ヘイスティングスが創業したネットフリックスは、数々のオリジナル作品で成功を収めている。
『ギーク思考』(アンドリュー・マカフィー著/小川敏子訳/日本経済新聞出版)から一部を抜粋・再構成。かつて「脅威にもならない」と侮っていたネットフリックスの興隆で、ハリウッドは終わりを迎えるのか?
ハリウッドの終わり
『ギーク思考』(日本経済新聞出版)
2000年が近づく頃に、誰が今後の娯楽映画を理解し、具現化し、収益化するかについて賭けをしたとしよう。
おそらくあなたはリード・ヘイスティングスには賭けなかっただろう。彼は映画業界のずぶの素人で、ハリウッドを変革するどころか、関与すらしたいという意欲もなかった。むしろ成功したコンピュータ・ギークのお手本であった。
ヘイスティングスは大学で数学を専攻し、アメリカ政府のボランティア組織である平和部隊の一員としてスワジランドで教え、その後1988年にスタンフォード大学でコンピュータサイエンスの修士号を取得した。ソフトウエアのデバッガーとして数年間働いた後にピュア・ソフトウエアを創業し、デバッギング・ツールを開発した。
ピュア・ソフトウエアは1995年に上場し、1996年にアトリア・ソフトウエアと合併、1997年にラショナル・ソフトウエアに買収された。当時、ヘイスティングスは自身を凄腕の起業家とは考えていなかった。彼の自己評価によれば、ピュア・ソフトウエアを官僚主義的でのろまな組織にするという「凡庸な仕事」をこなした*50。
市場も自己評価と同じ意見だったようで、ラショナル・ソフトウエアによる買収発表時に両社の株価は約40%下落した。
50 Michelle Conlin, “Netflix: Flex to the Max,” Businessweek, Bloomberg, September 24, 2007, www.bloomberg.com/news/articles/2007-09-23/netflix-flex-to-the-max.







