日米共同訓練に参加した陸上自衛隊の水陸機動団の隊員(鹿児島県・沖永良部島/写真:共同通信社)

遼寧のレーダー照射事件で高まる緊張

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 2025年11月7日、高市早苗総理の台湾有事に関する発言、いわゆる「高市発言」が中国の虎の尾を踏む形となり、習近平国家主席が激怒。空母「遼寧」を沖縄本島南東の公海上に差し向けたり、空母艦載機で航空自衛隊のF-15戦闘機にレーダーを照射したりするなど、日本への威嚇を強めている。

中国空母「遼寧」の艦隊(写真:新華社/アフロ)

 12月23日には米国防総省(ペンタゴン)が「中国の軍事・安全保障に関する年次報告書」を発表。中国が2027年までに台湾侵攻を可能にするため、軍事力を着実に進展させていると分析して警鐘を鳴らした。

 仮に中国が台湾侵攻に打って出たら、露払いとばかりに沖縄本島へのミサイル攻撃や、台湾に近い与那国島や石垣島への奇襲・占領を同時に実施する可能性もある。その場合、台湾支援に動くかもしれない在日米軍や自衛隊を封じる策に出かねない。

 そうした事態になった時、果たして自衛隊は中国軍と対峙できるのか──。英シンクタンク・国際戦略研究所(IISS)の『ミリタリー・バランス(2025年版)』のデータなどを中心に、その実力に迫る(別掲表参照)。


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 2024年現在、自衛隊の総隊員数(兵力)は陸海空合わせて約24.7万人。対する中国は203.5万人と圧倒的だ。

 緊急時の動員力を示す予備役と準軍隊(治安部隊や民兵など)の人数も、日本が予備自衛官約5.6万人、海上保安庁約1.5万人の計7万人強なのに対し、中国は300万人超と2桁違う。

写真:陸上自衛隊ウェブサイトより

 ただし島国の日本は、ウクライナ戦争のように、国境を接する敵国の軍隊が陸伝いで突然攻め込んでくる危険性はない。