勝敗を決めるのは「レーダーとデータリンク」
中国空軍に対し、格段の優位性を保持するアイテムが、機体の背中に大型の皿状レーダー(レドーム)を載せた大型のE-767(4機)と、小ぶりのE-2D(8機)の2種類の早期警戒管制機(AEW&C)である。
E-767早期警戒管制機(写真:航空自衛隊ウェブサイトより)
どちらもはるか遠方の敵機を探知する“空飛ぶレーダー”で、探知距離は前者が約600km以上、後者が約450km以上。中国も同様の機能を持つKJ-500を多数持つが、特にE-2Dが持つUHF帯レーダーは、いち早くステルス機を探知でき、中国との航空戦ではかなり有効だ。
またF-35との連携でさらに威力が倍増。ステルス機は基本的に自らレーダーを出さずに飛行するため、AEW&Cからの情報提供でF-35の実力は飛躍的にアップする。
加えてF-35の圧倒的な強さは、米軍と完全にデータリンクされている点だ。世界最大の実戦データを基にAIが弾き出した最適解を瞬時に導き出し、作戦に応用するという芸当は、まだまだ中国にはまねできない。
第一生命経済研究所の調査によると、2024年の国防費ランキングで、日本は10位の約553億ドル(約8.6兆円=1ドル155円換算)となっている。8位に戦時中のウクライナの約647億ドル(約10兆円)、9位にフランスの約647億ドル(約10兆円)、11位に韓国の約476億ドル(約7.4兆円)、12位にイスラエルの約465億ドル(約7.2兆円)が控える立ち位置にある。
また、軍事ウェブサイト「グローバル・ファイアパワー」の『世界軍事力ランキング(2025年版)』によれば、日本は8位で、トップ3は米露中が定位置に座り、4位インド、5位韓国、6位イギリス、7位フランスと続き、9位にトルコ、10位にイタリアといった顔ぶれが並ぶ。これらを踏まえれば、日本の自衛隊の世界的な実力は10位前後といったところだろうか。
高市政権が推進する防衛費大幅増を追い風に、ドローン・AI化をさらに加速させる日本の自衛隊だが、この分野での中国の躍進ぶりも目覚ましいだけに油断は禁物だ。







