海上自衛隊の強みは対潜、見えない戦場の主役

 海上自衛隊は隊員数約4.5万人、ヘリコプター搭載護衛艦(F-35B垂直離着陸ステルス戦闘機を搭載し、事実上の軽空母)4隻、エリア防空/対弾道ミサイルが任務のイージス艦8隻、他の水上戦闘艦(護衛艦)42隻、通常型(ディーゼル型)潜水艦25隻、揚陸艦3隻を保有する。

 原子力潜水艦を除けば、アメリカ、中国、ロシアに次いで世界第4位の“海軍力”と目される。

 対する中国海軍は近年猛烈に艦船を建造している。潜水艦59隻のうち弾道ミサイル原潜(SSBM)6隻、攻撃型(魚雷や対艦ミサイルで武装)原潜6隻、空母3隻、水上戦闘艦(満載排水量500トン以上)182隻、強襲揚陸艦3隻を擁する。

 水上戦闘艦は200隻に迫るが、後述するように、大半が沿岸域警戒用の中小型艦で、同じく潜水艦の大部分を占める通常型(ディーゼル式)潜水艦も、静粛性能では日本の潜水艦よりも数段劣り、見かけ上の大きな数字ほどの脅威はない。

 海上自衛隊は同盟国アメリカと共同で中国海軍に対抗するのがセオリーだ。「数」による飽和攻撃で迫る相手に対し、日米は「質」と「ドローン」で挑む。海自は「対潜哨戒」が得意で、対潜哨戒能力は米製P-3C 32機と国産の新型P-1 34機の計66機を装備し、アメリカに次いで世界2位の戦力を誇る。

国産のP-1哨戒機(写真:海上自衛隊ウェブサイトより)

 2025年、防衛省はアメリカ製の滞空型UAV(無人航空機=ドローン)「MQ-9Bシーガーディアン」の配備を発表した。洋上監視と対潜任務に従事する無人機で、本格導入が予定される。

 また、世界初の「リチウムイオン電池潜水艦」も海上自衛隊が誇るアイテムだ。「そうりゅう」型(水中排水量約4200トン)12隻のうちの2隻と、後継の最新鋭艦「たいげい」型(同推定4000トン後半)4隻(計10隻建造予定)がこれに当たる。

世界初の“リチウムイオン電池潜水艦”「たいげい」型3番艦「らいげい」(写真:海上自衛隊ウェブサイトより)

 これらは通常型潜水艦が装備する鉛蓄電池に比べ、蓄電量などの性能が格段に高く、長時間潜航や静粛性なども優れる。海峡出入口などで息をひそめて中国潜水艦を何週間も待ち伏せするという作戦にはうってつけだ。

 ただしリチウムイオン電池は品質管理が命で、爆発・発火しやすい性質だけに万が一潜水中に艦内で事故が起これば沈没は免れない。この技術で日本は世界トップを誇るが、リチウムイオン電池生産世界一の中国が座視しているはずもなく、開発を急いでいると言われる。