2024年5月23日、中国人民解放軍は、台湾周辺の海・空域で軍事演習「聯合利剣-2024A」を開始した。スマートフォンに表示されている、中国人民解放軍が投稿した軍事演習の位置を示すイラスト地図(資料写真、写真:ZUMA Press/アフロ)
目次

(数多 久遠:小説家・軍事評論家、元幹部自衛官)

 立憲民主党・岡田克也議員の議会における、台湾有事に関する誘導質問に端を発して、中国が対日姿勢を硬化させています。質問から1カ月を経過した現在でも、中国は強硬姿勢を緩めることなく、台湾有事はホットな話題であり続けています。

 結果、普段は防衛やミリタリーに興味を持たない方の中にも、不安を感じている方が多いようです。

 今回、JBpressの編集者より、そうした人たちに向けて、
 ・自衛隊の戦力は中国やロシアと比べて勝っているのか? 劣っているのか?
 ・世界の中でどれくらいの位置につけているのか?
 ・足りている戦力は何か? 足りていない戦力は何か?
といった内容で解説を書いてほしいと依頼を受けました。

 この依頼を見て、私は危機感を抱きました。それは、編集者が提示してきたテーマ自体が中国の術中に嵌まっている証左だからです。

 最近のテレビやSNSなどでは「自衛隊は中国軍に勝てない」という声が聞かれます。実は、そう思わせることこそが中国を利するものであり、中国側の狙いなのです。

 以下では、台湾有事を念頭に、何が起こり、有事がどう展開するのか、主に普段は防衛やミリタリーに興味が薄い方を対象に解説したいと思います。