そのため、北朝鮮およびロシアが中国側につくケースにおいても、両国は日米と同様に、台湾周辺に戦力を展開して介入することとして評価しています。
ただし、両陣営共にエスカレーションへの警戒は必要なため、相互に防衛のための戦力を自国領域に拘置せざるを得ず、台湾方面に展開できる戦力は一部にとどまります。
マトリクス図での評価~サンプルとしての2つの事態
そして、そうした複数のプレーヤーが関与し、多種多様な事態が生起する可能性のある台湾危機を、自衛隊が作戦を考える場合によく使われる方法、マトリクス図を使って評価してみたいと思います(図1)。
このマトリクス図では、台湾有事で起こり得る4つの事態について、それぞれ中国側と台湾側の参加主体を複数パターン想定して評価を行いました。縦軸に事態、横軸に参加主体を置き、4つの事態は、下に行くほど大規模な侵攻作戦となります。
そして、各々のケースを評価し、色分けしました。評価は、侵略を行う中国が作戦目的をどの程度達成したか、その際に、許容し得ない損害を受けていないかで行っています。基本的に、軍事作戦は、いかに被害を被ろうとも、その目的さえ達成されていれば成功と評価できるからです。
自衛隊などの軍事組織において、マトリクス図は、事態に対して取り得る複数のオプションの中からどれが望ましいか検討する際などに使用されます。
マトリクス図を用いる一番の利点は他のオプションとの比較にありますので、各項目の細部を説明することは本旨から外れてしまうのですが、説明しないと、各事態をどのように評価したのか理解できないと思います。そこで、一部の項目(図の中の【1】【2】の箇所)だけを例示として詳述します。
