記者会見する台湾の頼清徳総統(2月3日台北で、写真:ロイター/アフロ)

米台が「統合火力調整センター」新設

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 台湾軍は2025年、中国の台湾侵攻に備え、米軍との情報・指揮統制システムを統合するため「統合火力調整センター」を新設した。

 この施設には米軍関係者が駐在しているという。台湾大手紙「聯合報」(1月26日付)が伝えた。

 このことに関し、台湾の顧立雄国防部長(国防相)は1月26日、立法院(国会)外交・国防委員会に出席する前、報道陣の取材を受けた。

 顧氏は、台湾と米国の軍事交流はすでに制度化されているとし、この体制に基づいた交流を進めることによって、各分野での米台協力を深め、台湾の防衛作戦能力を強化できると述べたが、詳細については説明を避けた。

 米中間の複雑・微妙な関係もあり、米台共同作戦体制は隠密裏に、また注意深く進められているようだ。

 聯合報によると、統合火力調整センターの主要機能は、以下の通りである。

●米軍と台湾軍が敵(中国軍)の動向情報を共有する共同情報作戦
●攻撃を受けた場合の対処要領などを定めた共同作戦計画の策定
●攻撃すべき敵の位置・目標をリアルタイムで追跡する敵目標把握
●陸海空軍のうちどの軍が攻撃するかを決定する火力統制・配分など

 この内容からすると、同センターは事実上の米台共同作戦指揮所と言えるものだ。

 米軍関係者用の専用席が多数設けられ、米台間ではすでに複数回、統合指揮幕僚活動が実施されたという。

 中国軍は2025年12月29~30日の間、台湾封鎖を模擬した「正義使命2025」と称する大規模演習を実施した。

 同演習の主な目的は、「台湾独立勢力と外部干渉勢力に対する厳重な警告」とされ、台湾の頼清徳政権への警告および米国による台湾への大規模武器売却に対する抗議と思われる。

 一方、日本の高市早苗首相の「存立危機事態」発言への批判も含まれていたのではないかともみられている。

 聯合報は、前掲の中国軍演習期間を含め、米軍関係者が同センターに出入りし、台湾の国防部や参謀本部との共同作業を行う様子がしばしば目撃されたと伝えている。

 そこでの活動は、中国軍演習への対応行動をとりつつ、作戦開始日を示す「Dデー」に備えて統合火力調整センターの主要機能をテストするとともに、演習全般をモニターして共同作戦計画や対応行動の見直しなどにも供しているとみることができよう。