2027年危機に米台は実質的同盟化で対処
日米の安全保障・防衛協力のための仕組みは、下記の図の通り、日米政府・軍隊間で協議の場が設けられ、そこで「日米防衛協力のための指針」、いわゆる「ガイドライン」が作成される。
日米両国は連合軍を形成せず共同で作戦を行う立場から、同盟(共同)調整メカニズムを設置し、共同計画を策定して共同訓練・演習を実施する。
この基本的プロセスをもって日米による抑止力・対処力を高め、日本の平和および安全を確保しようとする取り組みである。
米台間は、1979年に国交を断絶して以降、公式な国家関係が途絶えた。
そのため、米国は、3つの米中共同コミュニケ(1972年、1978年および1982年)、台湾関係法(1979年)、そしてロナルド・レーガン大統領の台湾に対する「6つの保証」(1982年)に基づいて台湾関係を律してきた。
その安全保障政策は、「防衛的兵器」の供与と「曖昧戦略」と言われ、台湾有事への関与について「手の内を明かさない」ものだ。
そのため、米台の共同軍事組織の構築など想像だにされてこなかった。
それが、台湾軍の兵器と米軍が供与した兵器を統合一体的に運用・発揮するための「統合火力調整センター」が新設され、そこに米軍関係者が駐在するに至ったのだ。
同センターの主要機能を見ると、日米安全保障・防衛協力のような正式な仕組みがあるかどうかは明らかではないが、それと同じようなメカニズムをもって創設されたとみることができよう。
米台の情報・指揮統制システムの構築は、いわば台湾軍を正式な同盟軍の地位に押し上げるものであり、今般の出来事は米台関係を飛躍的に高めた歴史的転換点といっても過言ではなかろう。
これも、「2027年台湾侵攻」危機のシナリオが仮説ではなく、差し迫った現実と認識され始めたことと関係しているのではなかろうか。
2026年2月に報じられた米ニューヨーク・タイムズ紙の分析によれば、「2023年初頭、中国には少なくとも30人の上将や司令官が専門部署や戦域司令部を統括していた。そのほぼ全員が、習近平氏の徹底的な粛清の中で追放されるか、姿を消している」という。
30人の軍事指導者のうち、現在残っているのはわずか7人とされる。
これは、軍事専門家の補佐を欠いた習近平主席の独裁体制が強化されたことを意味しよう。
習近平主席の台湾侵攻意思は固く、台湾だけでなく日本やその周辺地域、そして同盟関係にある米国は極めて危険な挑戦を受けている。
その抑止のための取り組みは喫緊の課題に違いなく、日米同盟を基軸とした地域の同盟国・友好国の連携協力の強化は「待ったなし」である。
