台湾軍の「非対称戦略」を補強
台湾軍は、圧倒的な中国軍に対し「非対称戦」をもって対抗する構えである。米国もそれを推奨している。
非対称戦は、軍事力・兵器、戦略・戦術等の面で、交戦する両者の間に大幅な格差がある戦いにおいて、相手との違いを活用し戦いを優位に導く方策のことをいい、いわゆる弱者が強者を倒す戦法である。
(『時事用語辞典』(2008/03)の「非対称戦」(中村好寿著)を筆者が一部補正)
台湾軍は、巨大な中国軍に対し全土にくまなく配備した精密攻撃兵器、機動・分散型小型兵器、無人システム等によって深刻な痛みを与え、占領を許さない「非対称戦略」を採っており、これを「ヤマアラシ戦略」と呼んでいる。
そのため、攻撃・防御的情報戦と電子戦(EW)、陸上移動式対艦ミサイル、高速ステルス艦艇、迅速な機雷敷設と掃海、無人機・無人艇(ドローン)など対艦・対空の分野を重視して水陸両用(着上陸)侵攻を阻止・無力化するとともに、台湾全域の重要インフラ防護のため「台湾の盾(台湾ドーム/Tドーム)」の構築にも力を入れている。
兵器について見れば、台湾は、地対空弾道弾迎撃ミサイル「天弓2・3型」、長距離巡航ミサイル「雄昇」(射程約1200キロ)、超音速対地・対艦ミサイル「雄風Ⅲ」(射程約400キロ)などの長射程ミサイルや、沱江級コルベット、潜水艦「海鯤」、ミサイル艇/哨戒艇、機雷敷設艦など海上戦力の国産化を進めている。
他方、米国は、高機動ロケット砲システム(HIMARS)、陸軍戦術ミサイルシステム(ATACMS)、地対艦ミサイルシステム「RGM-84L-4」(ハープーン)、地対空ミサイルシステム「PAC-3」(パトリオット)、中距離地対空ミサイルシステム(NASAMS)、自爆型無人機の「スイッチブレード」、小型無人機「アルティウス600M」をはじめ、キッド級駆逐艦、「Mk 48 Mod 6」重量級魚雷、そして「F-16」(A/B改修V型)戦闘機などの主要兵器を供与している。
上記の通り、台湾軍は中国本土に届く射程約400~1200キロの国産ミサイルを保有している。
しかし、台湾にはこれら兵器を効果的かつ効率的に運用する陸海空軍統合指揮統制システムがなく、また、自前の軍事偵察衛星がないため、中国軍の戦略目標情報をリアルタイムで取得することができない。
そうした「非対称戦」システムの弱点を補うために新設されたのが米台「統合火力調整センター」である。
同センターは、米軍から目標情報をリアルタイムで受け取り、陸海空に分散した台湾軍のミサイルシステムを単一の「統合指揮統制システム」の下に有機的に運用・発揮させるだけでなく、米国から供与された各種ミサイルの能力を総合一体化する役割も果たすことになる。
まさに、米台共同作戦の象徴的かつ中核的な役割を担うものだ。
聯合報は「米台が共同で情報調整作業を行うということは、米軍が必要時に共同作業で台湾側に長距離ミサイルの目標情報を提供することを意味する。これは米国が台湾に大量のミサイルを販売した後、抑止力を実現しようとする最も誠意のある措置だ」と報じた。