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(藤 和彦:経済産業研究所コンサルティング・フェロー)

 米WTI原油先物価格(原油価格)は今週に入り、1バレル=64ドルから67ドルの間で推移している。米国とイランの軍事衝突への警戒感から、価格の下値は先週に比べ2ドルほど上昇した。

 まず需給に関する動きをみてみたい。

欧州によるロシアへの追加制裁は足並み揃わず

 ゴールドマン・サックスは2月22日付のリポートで、今年第4四半期の原油価格の予測を前回から6ドル引き上げて1バレル=56ドルとした。経済協力開発機構(OECD)諸国の在庫が予想を下回ったのが主な理由だ。

 イランなどに関連した大規模な供給混乱がないという前提で、今年の原油市場の供給過剰は日量230万バレルになるとの見通しは据え置いた。

 一方、イランやロシアに対する制裁が緩和され、長期的に供給が増加する場合、原油価格は8ドルの下振れリスクがあると指摘している。

 ウクライナと戦争を続けるロシアの原油輸出は順調だ。

 フィンランドの研究機関「エネルギー・クリーンエア研究センター(CREA)」は24日「価格割引を余儀なくされているため、ロシアの過去12カ月間の原油収入は前の1年間に比べて18%減少したが、同期間の原油輸出量は2億1500万トンと、侵攻前の水準を6%上回っている」との調査結果を公表した。

 輸出を高水準に保っていられるのは、ロシアが老朽化したタンカーで構成される「影の船団」を使って主要7カ国(G7)などが科した制裁を回避しているからだ。

 このため、CREAは「より厳格な制裁の履行が不可欠だ」と訴えている。

 欧州連合(EU)は23日、ロシアに対する新たな制裁措置を議論したが、ハンガリーとスロバキアの反対で合意が得られなかった。

 ウクライナがロシア産原油の東欧向けパイプラインを攻撃したことが災いした。