衆院本会議で、中道改革連合の小川代表の代表質問に答弁する高市首相=24日午後(写真:共同通信社)
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(牧野 知弘:オラガ総研代表、不動産事業プロデューサー)

「富裕層急増」の再来狙う高市政権だが

 真冬の総選挙が終わった。大方の予想をさらに上回る自由民主党の大勝ともいえる結果に驚かされた人も多かったのではないだろうか。

 勝因についてはいろいろ論評されているが、選挙はムードに左右されるとの論拠として、女性初の宰相で、はきはき自己主張する高市早苗首相とは対照的に、相手の批判に終始した感のある野田、斎藤という2人の「おじさん政治家」が有権者から敬遠されたということだ。

 この選挙結果で見逃せないのが、自民党が前回の衆議院議員選挙で議席を失っていた都市部で多くの返り咲きを果たした点にある。この背景には、高市首相が掲げる「強く豊かな日本」にするための「責任ある積極財政」に夢を抱いた有権者が、都市部に多くいたことを表している。

 この政策を遂行するために、多額のマネーを市場に投入することになるのは自明の理だ。彼女は故安倍晋三氏を崇拝し、アベノミクス的な政策を再び行うことで日本経済の成長を実現すると説いてまわった。

 アベノミクスが実施された2013年以降、日本の株式、不動産マーケットは急上昇した。その結果、日本では富裕層の数が急増している。

 野村総研は日本の世帯を、保有する純金融資産(金融資産から負債を除いた額)を資産保有額別に、①超富裕層(5億円以上)、②富裕層(1億円以上5億円未満)、③準富裕層(5000万円以上1億円未満)、④アッパーマス層(3000万円以上5000万円未満)および⑤マス層(3000万円未満)に分類してその動向を調査、発表している。

 最新の発表(2023年)によれば、保有資産で1億円以上(①+②)の富裕層は世帯数の3%に相当する165万世帯に達している。ちなみに保有額は全体の26%に及ぶ。

世帯の純金融資産保有額とその世帯数(野村総研の調査より)

 富裕層の数や保有資産額はアベノミクスが実施された2013年以降急上昇しており、アベノミクス政策が富裕層の増加に大いに貢献していることがわかる。ちなみに2005年と比べると超富裕層は2.27倍、富裕層は1.89倍に増加、保有額では超富裕層で2.93倍、富裕層で2.00倍という急伸ぶりだ。

 アベノミクス復活は当時と今とでは日本の置かれている環境は全く異なり、この政策の遂行は金利の更なる上昇と生活物価上昇などの激しいインフレを招くものとして、専門家などからもこの動きに警鐘を鳴らす声が多く聞かれたのにもかかわらず、どうやら都市部の特に若者やサラリーマンの支持を受けたのはアベノミクスが金持ちになるための打ち出の小槌になると思われたのではないかと推測する。