衆院選の街頭演説に集まった人たち=27日、東京・丸の内(写真:共同通信社)
(牧野 知弘:オラガ総研代表、不動産事業プロデューサー)
低金利の恩恵が消えた不動産マーケット
衆議院が解散された。2月という極寒の中で、各党候補者たちは選挙区内を駆け回る日々だ。
高市内閣は内閣支持率が高いうちに衆議院で自民党の単独過半数を獲得しようという戦略に見えるが、メディアからは「高いウチ解散」あるいは「今イチ解散」などと揶揄されている。
一方の野党は誰しもが驚く立憲民主党と公明党が結託した「中道改革連合」なる昭和レトロな雰囲気漂う名称で迎え撃つ。こうした対決構造については口さがない向きから「統一教会vs創価学会」などとの指摘も出ている。
第三極は、2大勢力から置いてきぼりにならないよう、「『もっと』手取りを増やす。」(国民民主党)、「ひとりひとりが日本」(参政党)、「日本を守る、とはあなたを守ることから始まる。」(れいわ新選組)などのキャッチコピーで有権者の関心を得ようと知恵をめぐらしている。
さて選挙結果については現段階で知る由もないが、与野党どちらが勝利しても、金融マーケットとこれに連動した不動産マーケットは大きな影響を受けることが確実だ。それは高市政権の打ち出す積極財政でも、与野党の多くが主張する「消費税減税」または「食料品についての消費税ゼロ」でも、マーケットに大量のマネーを投ずるか、減税分を賄うために大量の国債発行を余儀なくされることに変わりがないからだ。
厳しい財政事情にある我が国が、さらに大量の国債を発行することは一種の賭けだ。
戦略分野への財政支出によって日本経済が奇跡的な成長を遂げる。消費税減税により日本人の消費意欲が改善して生活が豊かになり、経済成長が実現する。
いずれであっても、国債大量発行の効果が明確に表れるのであれば結果は良い方向に働く。
だが、積極的な成長投資も消費減税も、日本社会をさらなるインフレに導く政策であり、結果を伴うことができなければ、国民生活がますます困窮するスタグフレーションに陥ることが懸念される。
マーケットはすでにこうした政策に関して疑問符を付けている。長期金利の上昇だ。
10年物国債利回りは2.239%(1月23日)、1年前の1.238%に比べちょうど1%の上昇になっている。40年物に至っては4%を超える水準に近付いてきている。
国債市場で長期金利の指標である新発10年債の利回りを示すモニター=19日、東京都中央区(写真:共同通信社)
こうした動きに対して、30年にもわたり低金利の恩恵を被ってきた不動産マーケットは岐路に立たされている。