【1】限定侵攻B(金門・馬祖+澎湖)──中国単独 vs 台湾+米+日

 限定侵攻は、中国が、ある意味のサラミ戦術ともいえる台湾海峡内の島嶼部に対して侵攻作戦を行うものです。

 台湾海峡内の島嶼には、大陸に極めて近い位置にある金門諸島および馬祖諸島がある他、海峡の中央やや台湾本島寄りに澎湖諸島があります(図2)。

図2 金門諸島、馬祖諸島、澎湖諸島の位置
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 限定侵攻Aは、この内の金門諸島および馬祖諸島に侵攻するものです。限定侵攻Bは、澎湖諸島を含めて侵攻するものとしました。

 ここでは限定侵攻Bを見ていきます。参加プレイヤーは、中国単独に対して台湾側には日米がついたパターンです。

 このケースでは、中国が島嶼部に侵攻し、補給線である海上への攻撃は行うものの、台湾本島への攻撃は行っていません。そうなると、台湾陣営側も、大陸の策源地である港湾、空港へ攻撃を行うと、間違いなく報復として台湾本島への攻撃を行うエスカレーションが発生してしまうため大陸への攻撃ができません。逆に、中国も日本や在日米軍基地への攻撃はできません。

 自ずと、島嶼部の陸上、その補給線となる台湾海峡の洋上およびそれらの上空が戦域となります。エスカレーションへの警戒は必要ですが、双方が台湾海峡に戦力を集中させることができる状態といえます。

 この時、大陸にあまりにも近い金門、馬祖は、台湾陣営側にとって補給線が長すぎる上、エアカバーが不可能なため、中国軍による占領は避けられません。