財源は?禁じ手の国債発行が急増、増税も
史上初の「9兆円超」という防衛費。それを支える財源は、どうなっているでしょうか。ポイントは2つ。その1つが「建設国債」の充当です。
日本では戦後長らく、防衛費を借金(国債)で賄うことを政策判断で禁じてきました。
第2次世界大戦では、軍部に言われるままに国債を乱発して軍事費を膨張させ、無謀な戦争を支えたとの反省から、戦後は国債発行そのものを財政法で厳しく規制。1960年代にインフラ整備のために建設国債を発行するようになってからも、「公債(国債)を軍事目的に活用することは絶対に致しません」(1965年12月、当時の福田赳夫・大蔵大臣の国会答弁)という姿勢を貫き、防衛予算への充当を認めてきませんでした。
ところが、岸田政権時代の2023年度予算でこの縛りを解禁。建設国債の使途を防衛費にまで拡大したのです。同年度には防衛費のための発行額は4343億円でした。その額は年々増大。累計はすでに2兆円を超え、2026年度も5973億円の国債を防衛費の財源とする計画です。
借金で防衛費を捻出するようになると、防衛費増大の歯止めが失われて「聖域化」を招く危険性があります。政府予算全体の歳入構造を悪化させ、国家財政に対する市場の信認を失っていく恐れも消えません。
財源をめぐるもう1つのポイントが「増税」。まずは、ことし4月の「たばこ増税」から始まります。加熱式たばこは1箱あたり数十円程度引き上げたうえで、2027年の4月以降、加熱式・紙巻きともに段階的に30円程度引き上げる方針です。
多くの人に影響するのが、所得税の増税です。新たに設ける「防衛特別所得税」の税率は1%。課税は2027年1月から始まります。東日本大震災の復興に充てている税率2.1%の「復興特別所得税」(2013〜47年)の税率を1%下げて対応するため、個人から見ればトータルの税率は変わりませんが、特別所得税の使い道が「復興」から「防衛」に移るわけです。ただ、復興特別所得税の徴収が2027年で終了するのに対し、防衛特別所得税の終了時期は明示されていません。
各メディアの報道によると、米政府はかねてから、日本に対して防衛費をGDP比3.5%、あるいは5.0%まで引き上げることを求めているとされています。日米関係だけで日本の防衛費が決まるわけではありませんが、日本の安全保障を米国に強く依存している以上、防衛費の拡大に関する米側の意向を避けて通ることもできません。
防衛費の増大はどこまで続くのでしょうか。
フロントラインプレス
「誰も知らない世界を 誰もが知る世界に」を掲げる取材記者グループ(代表=高田昌幸・東京都市大学メディア情報学部教授)。2019年に合同会社を設立し、正式に発足。調査報道や手触り感のあるルポを軸に、新しいかたちでニュースを世に送り出す。取材記者や写真家、研究者ら約30人が参加。調査報道については主に「スローニュース」で、ルポや深掘り記事は主に「Yahoo!ニュース オリジナル特集」で発表。その他、東洋経済オンラインなど国内主要メディアでも記事を発表している。高田氏の近著に『調査報道の戦後史 1945-2025』(旬報社)がある。