アンドルーズ統合基地で大統領専用機に乗り込むトランプ大統領(1月16日、写真:AP/アフロ)
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(英フィナンシャル・タイムズ紙 2026年1月14日付)

 米国が12月に公表した国家安全保障戦略(NSS)は欧州の同盟国の欠点をやり玉に挙げた。文章は痛烈だ。

 NSSによれば、欧州の「経済の凋落をはるかにしのぐのが、文明の消滅という現実的で厳しい見通しだ。欧州は経済以上に大きな問題に直面している。具体的には、欧州連合(EU)とその他の国際機関の活動が政治的な自由と主権を損なっていること、移民政策が欧州大陸を変容させ不和を発生させていること、言論の自由の検閲と反体制派の抑圧、出生率の落ち込み、および国民意識と自信の喪失といった問題が挙げられる」。

 また米国は「欧州、英語文化圏、その他の民主主義世界、とりわけ米国の同盟国における核心的な自由に対するエリート主導の反民主主義的制限に反対していく」と言及した。

 要するに、「我々の目標は、欧州が現在の路線を正すよう支援することであるべきだ」ということだ。

MAGAが愛する英雄

 そして、米国がその手段の主軸に据えているのが「欧州の愛国的な政党」への支援だ。

 そのような政党の指導者のうち、MAGA(米国を再び偉大に)運動が最も高く評価するのはハンガリーのオルバン・ビクトルだ。

 では、そのオルバンは総合的に見て、表現の自由とリベラルな民主主義をどの程度促進してきたのだろうか。

 スウェーデンの定評ある独立調査機関、比較民主主義(V-Dem)研究所のデータベースによれば、非常にお粗末というのがその答えだ。

 ハンガリーの「自由民主主義総合指数」は2009年の0.77点(1点満点)から2024年の0.32点に低下している。

 MAGAのお気に入りであるハンガリーは、腐敗した権威主義的な国家だ。だが、ロシアほどひどくはない。

 ロシアのウラジーミル・プーチンは、ドナルド・トランプが英雄視する指導者の一人だが、これも特に意外なことではない。選挙の転覆を試みた人物が民主主義の行方を懸念しているはずがない。

 では、表現の自由について、もっと的を絞って考えてみよう。

 同じくV-Dem研究所によれば、英国、フランス、ドイツをはじめとする多くの欧州諸国は言論の自由と「代替的な情報源」なるものを米国よりもしっかり守っている。

 これは2024年時点の話だ。米国が2025年にこの点を改善させたと考える人は果たしているのだろうか。

 トランプ政権がこの年、大学やメディアを攻撃したことを踏まえれば、特にそうだ。