アンチ中国のMAGAはなぜハンガリーのオルバン・ビクトル首相を支持するのか(2月23日撮影、写真:ロイター/アフロ)
(英フィナンシャル・タイムズ紙 2026年2月19日付)
ドナルド・トランプお気に入りのモンロー主義が一人の外国人によって試されたのは、トランプが18歳の時だった。
1964年、フランスの大統領シャルル・ドゴールが中南米諸国を歴訪し、この地域を覆う米国の影響力を排除するよう扇動し、代わりにフランスが力になると訴えた。
今そう言われても説得力はないが、当時も信憑性がなかった。
すぐ近くのアルジェリアを掌握し続けるのに失敗したばかりの衰弱した帝国が西半球で大手を振る「ヤンキー」を顔色なからしめることなど、とてもできそうになかった。
だがそれでも、群集はこの老政治家に喝采を送った。
米タイム誌が「ドゴール旅行記」と評したこの歴訪について思いをめぐらせれば、トランプやその支持団体である「MAGA(米国を再び偉大にする)」運動に得るものがあるはずだ。
MAGAの群集が欧州大陸の極右勢力をもてはやすなか、見失われがちな欧州についての何かが明らかになるかもしれない。
中国を嫌うMAGAがハンガリー首相を敬う不思議
欧州のナショナリスト(国家主義者)は多くの場合、米国に反対するか、少なくとも抵抗する立場を取る。
彼らの目に映る米国は、血縁や土地よりも根無し草の商売を重視する勢力だ。
米国は知ってか知らずか、それぞれの国に特有のものであるべき事物――食べ物や文化的規範など――を世界中で均質化している。宗派の違いを問題にする人もする。米国はカトリックでも正教会でもない。
昔も今も政治の主流派にしっかり収まっているドゴール主義から極右勢力に目を移せば、米国に対するこの警戒心はなお一層強くなる。
第2次大戦以降ずっと汎大西洋主義を深く奉じるドイツでは今、「ドイツのための選択肢(AfD)」に親ロシアの傾向が見られる。
ハンガリー首相のオルバン・ビクトルも同じく「東方」志向で、中国にとっては欧州随一の親友かもしれない。
それなのに、アンチ中国であるMAGA運動の世界はトランプに次ぐ高い評価をオルバンに与えている。これこそ、奇妙な運動にまつわる最も奇妙な話だ。
MAGA運動が敵対する勢力をこのように大事にしていることを、米国は後悔することになるかもしれない。
とはいえ、欧州のナショナリスト政党に声援を送る米国人は、倫理にまつわる話をしたり良心に訴えようとしたりしても主張を変えない。
そこで本稿では、強引な販売員のように彼らににじり寄り、シニカルな言葉をささやいてみようと思う。
そんなことして、あなたに何の得があるのか。米国の国益が常に最も重要であるのなら、いずれ米国の影響力に反発する可能性が高い政権をパリやベルリンに作ってどうするのか。「他国」のナショナリズムと米国第一主義をどうやって両立させるのか――。