北京で講演する百度の李彦宏・共同創業者兼会長兼CEO(2025年11月13日、写真:VCG/アフロ)
(英フィナンシャル・タイムズ紙 2026年2月13日付)
シリコンバレーの成功の秘訣のうち、それほど秘密でもない材料の一つは、米国が何十年もの間、繁栄する頭脳輸入ビジネスを手がけてきたことだ。
米インテルの最高経営責任者(CEO)として世界最大の半導体メーカーを築き上げたハンガリー生まれの故アンディ・グローブから(今やそのインテルを抜いた)米エヌビディアの共同創業者である台湾生まれのジェンスン・ファンに至るまで、何千人もの移民が米国のテクノロジー産業を主導し、豊かにしてきた。
外国人起業家が支えてきたシリコンバレー
スタンフォード大学経営大学院の調査によると、1997年から2019年にかけて企業価値が10億ドル以上と評価される米国テック新興企業を立ち上げた1078人の創業者の約44%が米国外で生まれた。
米国への頭脳輸出国の上位5位は、インド、イスラエル、カナダ、英国、中国だった。
程度の差こそあれ、米国のテック業界は頭脳再輸出ビジネスも手がけ、その魔法の種を世界中にまいてきた。
過去数十年間で、何千人もの海外生まれの研究者と起業家が帰還し、母国のテック業界の発展に多大なインパクトを与えた。
恐らく最も有名な帰還者が、中国・杭州生まれのカリフォルニア工科大学教授で、「赤の恐怖」の反共ヒステリーの最中の1955年に米国から強制送還された銭学森だろう。
中国へ戻ると、彼は東風弾道ミサイル開発計画を指揮し、「中国ロケット工学の父」になった。
1980年代には、台湾勢が地元の半導体産業の発展を促すために中国生まれの電気技師、張忠謀(モリス・チャン)を米国から引き抜いた。
チャンは台湾積体電路製造(TSMC)を創業し、同社は半導体受託生産の世界最大手となる。
今世紀に入ると、何千人もの中国生まれの研究者と起業家が米国で得た資格と人脈、スタートアップ企業のノウハウを携えて帰国するよう促された。
「海亀」として知られるこうした帰還者のなかでも最大の成功を収めた人物の一人が、巨大な多国籍テック企業、百度(バイドゥ)共同創業者の李彦宏(ロビン・リー)だ。