起業家精神では外国の優位性は存在せず
ワドワーにとって、報告書で明らかになった結果は2つの理由から複雑な心境だった。
まず、これは米国の学者としてカリフォルニア大学バークレー校教授のサクエニアンとともに行った「頭脳流通」の利点に関する昔の研究と矛盾した。
次に、デリー生まれのワドワー自身が、バイオテック系新興企業ヴァイオニクス・バイオサイエンシズを立ち上げるためにインドに戻ったブーメラン起業家の一人だった。
「地元の人間が我々よりうまくやっている」とワドワーは冗談を飛ばし、「中核的なアントレプレナーシップ(起業家精神)について言えば、外国の優位性は存在しない」と話した。
こうした調査結果が他国でも見られるとすれば――ワドワーはそうなっていると確信している――、これは世界中の投資家と政策立案者にとって大きな意味を持つかもしれない。
最も重要なことに、これは各国が自国育ちの一流起業家を国内にとどめておくためにできることをすべてやるべきだということを意味している。
そして、これは3500万人に上る世界最大の海外移住者を擁し、その多くがSTEM(科学、技術、工学、数学)教育の資格を持つインドに特に当てはまることだ。
もう一つの大きな要因は明らかに、米国が外国人労働者を歓迎しなくなっていることだ。
世界一流の外国人起業家が、いずれにせよ母国にとどまった方がいいと結論すれば、米国の頭脳流入の法外な特権は減退していくだろう。
(文中敬称略)