資金調達でも売上高でもブーメラン起業家が地元勢に見劣り
中国ほどの規模ではないが、似たようなパターンがインドでも観察できる。だが、興味深いことに、こうした「ブーメラン起業家」の成功には今、陰りが見られるようだ。
2016年から2023年にかけてインドで創業されたハイテク新興企業596社の研究では、純粋に国内チームによって立ち上げられた企業が資金調達とバリュエーション(企業価値評価)、売上高の観点で、海外から帰国した起業家によって立ち上げられた企業を上回る成績を上げていることが明らかになった。
報告書の執筆者4人は率直に、「結果はおおむね予想外だった」と締めくくっている。
こうした執筆者の言葉を借りると、インドの地元育ちの英雄は今、インドの「放蕩息子」を凌いでいる。米国のスタンフォード大学やグーグルで過ごした時間の価値が低下しているのだ。
この逆転についての説明は決定的ではない。
だが、ここで仮定されているのは、ネットワークがますますデジタル化し、ベンチャーキャピタル(VC)の資金が今やグローバルになり、技術のスキルが容易に移転可能になっているために逆転が生じたということだ。
報告書を執筆したビベック・ワドワー、アナリー・サクセニアン、DPK・ムスクマラスワミー、MH・バーラ・サブラマニアは、インドの国内の技術エコシステム(生態系)は今、国内の市場と機関、ネットワークに組み込まれた地元の創業者が帰還者の専門知識なしで繁栄できるほど成熟したと書いた。
ローカル性の不利がひっくり返り、むしろ海外経験が不利に働くようになったわけだ。