MAGAに主義があるとすればニヒリズム
もう一つの可能性は、もちろん、「MAGAはそんなこと気にしない」ということだ。
古くからある欧州の国の政権に極右が参加するよう支援すれば大混乱になり、それ自体が目的となる。それが米国の大戦略に及ぼす厄介な影響を指摘するのは野暮だろう。
ポピュリズムが選挙で議席を得るようになって10年経った今、評論家たちは当のポピュリスト以上にポピュリズムを深刻に受け止めているという筆者の印象に変わりはない。
こうしたポピュリストを「ファシスト」呼ばわりすることは、1930年代と1940年代に起きたことの重大さを軽視するだけでなく、政治とは相手を叩くインドアスポーツにすぎないと考える人々を不当に重く扱うことになる。
もし彼らが何らかの「イズム(主義)」に駆られているとしたら、それはニヒリズム(虚無主義)だ。
真摯な米国第一主義者であれば、米国に不信の念を抱いているオルバン――その点は米中央情報局(CIA)も見逃していない――を慕う気持ちなど抱くはずがない。
結局、ドゴールでさえ米国にはさんざん逆らうだけで終わった。彼はリアリストであり、自身の最も自惚れた計画にさえ歯止めをかける術を心得ていた。
今日の欧州の強硬論者は、そんな自制心を発揮しないかもしれない。
それをあえて知ろうとする米国の姿勢は奇妙だ。毎度のことながら、トランプ政権に対する最良の批判は、自分本位に振る舞うことすら不得手だというものになるだろう。
(文中敬称略)