小泉八雲(左)とセツ
(鷹橋忍:ライター)
NHK連続テレビ小説『ばけばけ』では、主人公・松野トキとレフカダ・ヘブンが、ついに結ばれた。とはいっても、二人には言葉の壁をはじめ、数々の試練が待ち受けていそうである。では、二人のモデルである小泉セツとラフカディオ・ハーン(小泉八雲)は、どのように出会い、結ばれ、どんな結婚生活を送っていくのだろうか。ラフカディオ・ハーンの後半生と共に、たどっていきたい。
英語教師 ラフカディオ・ハーン
明治23年(1890)4月に来日したラフカディオ・ハーンは、東京にて島根県知事・籠手田安定(こてだやすさだ)と島根県尋常中学校と師範学校の英語教師を務める契約を結んだ。
ハーン、40歳の時のことである。
報酬は月額100円で、これは県知事に次ぐ高給だった。
同年8月30日、ハーンは赴任地である島根県松江市に到着し、島根県尋常中学校の教頭・西田千太郎と出会った。
以後、公私にわたってハーンを支え、ハーンが心から信頼する友人となる西田千太郎は、吉沢亮が演じる錦織友一のモデルである。
ハーンは当初、松江を流れる大橋川の対岸に位置する、富田旅館で過ごしていたが、同年11月中旬頃、松江の末次本町(すえつぐほんまち)にある借家(織原紙店の離れ座敷)に転居している。
食事や入浴などの世話は、富田旅館のお信らがハーンのもとに通って行なっていたが、ハーンは住み込みで働く女中を求め、やがて、小泉セツが雇われることになる。
当時、外国人の住み込み女中となれば、洋妾(ラシャメン)との非難を浴びる恐れがあった。
だが、ドラマの松野トキと同じように、セツも離婚を経験し、養家の稲垣家は事業の失敗により借金を抱え、実家の小泉家も没落。
たった一人で、困窮した稲垣家と小泉家を支えなければならない状況に陥っていた。
セツは大切な家族のため、ラシャメンとのそしりを受けるのを覚悟のうえで、外国人であるハーンの住み込み女中の仕事を引き受けたのだった。
