イラン情勢が緊迫している=写真はイメージ(写真:ロイター/アフロ)
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(藤 和彦:経済産業研究所コンサルティング・フェロー)

 米WTI原油先物価格(原油価格)は今週に入り、1バレル=60ドルから67ドルの間で推移している。イランの地政学リスクの高まりが意識されて、原油価格は1月29日、一時66.48ドルと昨年7月下旬以来約半年ぶりの高値を付けた。

 まず需給に関する動きについてみてみたい。

ドル下落が原油価格上昇に寄与

 ロイターは1月26日「冬の嵐が襲ったため、米国の原油生産は先週末に最大で日量200万バレル(全生産量の約15%に相当)が失われた可能性がある」と報じた。特に深刻な打撃を受けたのがシェールオイルの主要生産地であるパーミアン盆地で、減産幅は約150万バレルに達したという。

 米国の原油生産は昨年末をピーク(日量1380万バレル超)に減産傾向にあり、来週発表される原油生産量は一段と減少する見通しだ。ただ、原油生産は30日までに完全に回復する見込みだ。

  ドルの総合的な強さを示すドル指数が約4年ぶりの安値になったことも原油価格の上げに貢献している。原油はドル建てで取引されることが多いため、ドル安が進めば割安となり、原油の需要が喚起されるとの期待が生まれるからだ。

 先週の相場に影響を与えたカザフスタンのテンギス油田は生産再開に向かっているが、完全復旧は当初の想定よりも遅く2月7日頃になる予定だ。

 世界の原油需給に大きな影響力を持つOPECプラス(OPECとロシアなどの大産油国が構成メンバー)は慎重な姿勢を崩していないようだ。  

 ロイターは26日「OPECプラスの有志8カ国は2月1日の会合で、3月の増産停止を維持する見通しだ」と報じた。有志8カ国は昨年4月から12月にかけて生産量を日量約290万バレル引き上げたが、原油市場の供給過剰懸念が根強いため、今年初めに確認した3月までの生産据え置きの方針に維持する可能性が高い。

 気になるのはベネズエラ産原油の動向だが、OPECプラス関係者は早期に生産が拡大することはないとみている。

 ベネズエラ産原油の輸出先は大きく変わりつつある。