ベトナム・ハノイでベトナム共産党書記長に再選された後の記者会見に出席したトー・ラム氏(2026年1月23日、写真:AP/アフロ)
(川島 博之:ベトナム・ビングループ Martial Research & Management 主席経済顧問、元東京大学大学院農学生命科学研究科准教授)
米国の2025年1月から11月までの貿易赤字は8395億ドルと前年同期より4%増加した。これまでのところトランプ関税は貿易赤字削減には役立っていない。ただ中国に対する赤字は25%減少しており、対中政策としては一定の成果をあげたようにも見える。
このトランプ関税の裏で漁夫の利を得ている国がある。ベトナムである。
昨年(2025年)11月単月の米国の国別の貿易赤字額はメキシコが178億ドル、ベトナムが162億ドル、台湾が156億ドル、中国が147億ドル、EUが145億ドル、日本が47億ドル、インドが44億ドルであった。中国は国別で4位に後退した。その一方でベトナムは2位に躍進した。米国のベトナムに対する貿易赤字は日本の約4倍になっている。
昨年のベトナムの輸出総額は4750億ドル、輸入総額は4550億ドル、貿易黒字は200億ドルだった。ベトナムは長年貿易赤字に悩んできた。しかし韓国のサムスンが携帯電話工場をベトナムに造ったことなどを背景に、この数年は黒字基調が続いている。
ベトナムのような開発途上国にとって貿易黒字は金融政策の自由度を確保する上で重要である。ベトナム経済は順調に成長している。