データセンター経由で商業用不動産市場に波及も
AIバブルの崩壊で商業用不動産市場全体が再び苦境に陥るリスクだ。
米国の商業用不動産(CRE)市場は新型コロナウイルスのパンデミック後にリモートワークが普及したため、窮地に追い込まれていたが、AIブームで息を吹き返した。データセンターやAI関連企業がオフィス需要を喚起したことが幸いした。だが、頼みの綱であるAI需要があてにできなくなれば、元の木阿弥だ。
折悪しく、CREローンの満期は今年からピークを迎える。CREローンの借り手はAIブームに助けられて償還期限を先送りすることができていたが、今後はデフォルトが多発するのではないかとの不安が頭をよぎる。
このように、AIバブルの崩壊はCMBS市場に致命的な打撃を与える可能性が高いのだ。
CMBSのほとんどは投資ファンドなどの非銀行部門が保有しているため、リーマン・ショックのような金融危機は起きにくいと言われているが、油断は禁物だ。
AI分野を巡る今後の動向について、引き続き高い関心を持って注視すべきだ。
藤 和彦(ふじ・かずひこ)経済産業研究所コンサルティング・フェロー
1960年、愛知県生まれ。早稲田大学法学部卒。通商産業省(現・経済産業省)入省後、エネルギー・通商・中小企業振興政策など各分野に携わる。2003年に内閣官房に出向(エコノミック・インテリジェンス担当)。2016年から現職。著書に『日露エネルギー同盟』『シェール革命の正体 ロシアの天然ガスが日本を救う』ほか多数。