欧州首脳の肝を潰したバンス米副大統領の「内からの脅威」演説

 ピーパー准将はロシアが保有する「戦術核(中・短距離)」に対抗するには、同盟の信頼が根底から揺さぶられている米国の戦略核(長距離)や核共有協定だけでは不十分であり、ドイツ自身が即応できる戦術的な核抑止力を持つべきだと考えている。

 昨年2月のミュンヘン安全保障会議でトランプ氏の後継者の一人、J・D・バンス米副大統領は「私が欧州に関して最も懸念している脅威はロシアでも中国でもその他の外部の主体でもない。私が懸念しているのは内からの脅威だ」と演説し、欧州首脳の肝を潰した。

「わが国と共有してきた最も根本的な価値観のいくつかから欧州は退却してしまっている」「英国、欧州全土において自由な言論が後退していることを私は恐れている」「われわれは進路を変え、われわれの文明を新しい方向へと導かなければならない」(バンス氏)

 1938年、核分裂の現象を世界で最初に発見したのはドイツの科学者オットー・ハーンらだった。第2次大戦勃発時、ドイツは世界で最も核兵器に近い位置にいた。39年、当局主導で「ウラン計画」が始動、量子力学の大家ヴェルナー・ハイゼンベルクが中心的な役割を担った。