ガソリン暫定税率廃止法の成立によって、ガソリン価格はこの先安くなる(写真:アフロ)
野党6党が提出した「ガソリン暫定税率廃止法案」が11月28日、参議院本会議で可決され成立した。1974年に道路整備等を目的とした道路財源の「暫定税率」として課税が始まり、その後の民主党政権では一般財源化されたものの、期間を定めない「当分の間(とうぶんのかん)税率」(旧暫定税率)としてこれまで存続してきた。51年間も続いてきた自動車の燃料に対する「暫定的な措置」に終止符が打たれた。
こうした中、自動車関連税の議論は「車体課税」に移る。与党税制調査会が年末までにまとめる令和8年度税制改正大綱の中で、車体課税に対する抜本見直しは、どのように示されるのだろうか。各方面との意見交換を受け、「車体課税」に加えて、欧州で先行した協議が進む「走行距離課税」の日本導入についても考えたい。
(桃田 健史:自動車ジャーナリスト)
最初に、自動車に関わる税金の仕組みを整理しておこう。
大きく2つに分類され、一つがガソリン暫定税率廃止で話題となった「燃料課税」、もう一つが自動車の取得や保有に対する「車体課税」だ。
燃料課税については、ガソリンは揮発油税と地方揮発油税、軽油については軽油引取税があり、それらに対して暫定税率がかかっている。
ガソリンについては本年12月31日、軽油については2026年4月1日に暫定税率が廃止される。金額ではそれぞれ1リットル当たり25.1円と17.1円。
これに先立ち、国が足元の経済対策として石油元売りへの補助金を増額することでガソリンが12月11日に、また軽油は11月27日には暫定税率分の小売価格が下がる。
燃料課税をなくした後の代替財源は?
では、課題について考えてみたい。
まず、代替財源をどうするかだ。ガソリン暫定税率廃止法案の議論の中で、与野党間での交渉が難航した点である。
税収減は約1兆5000億円に及び、特に地方税である軽油引取税の暫定税率分の影響が大きく、全国知事会からは早期実施に対して反対の声もあった。
今回の法案について最終的な議論の場となった、参議院の財政金融委員会での質疑を生配信で見たが、国は暫定税率廃止による減収分を、都道府県に対する「補填」という形で今後調整をするという答弁があった。
その上で、国は年末までに法人税を期間限定で低減する租税特別措置の見直しなどによって対処するとしている。
さらに「概ね1年を目処」に代替財源の最終案を決めるというが、現時点で具体策は示されていない状況だ。