巨額赤字予想、具体的な中身は示さず

 日産は記者会見で26年3月期での6500億円の最終赤字予想を発表した際に、エスピノーサ社長とジェレミー・パパン最高財務責任者(CFO)は、その明確な理由と具体的な数字を説明しなかった。

 こうした大赤字になる場合、通常はリストラ費用や減損処理などの理由とその額が明示されるが、「内訳は申し上げられない。『Re:Nissan』で決断したこと、あるいはこれから決断する内容が含まれる。現金が出ていく損失は多くない」(パパン氏)とする説明にとどまった。

 上場企業の決算発表は、業績の結果や予想を、株主や投資家、ステークホルダーらに適時かつ適切に開示するために行われる。そこで開示されたデータは投資判断などに用いられる。

 日産は無配に転落して株主に迷惑をかけ、かつ、追浜工場(神奈川県横須賀市)の事実上の閉鎖などにより、地域社会に大きな影響を与えようとしている。そうした中で、最終赤字の要因を詳細に開示しないとは、適切な対応とは言えない。強い言い方をすれば、非常に不誠実な対応だ。

 記者会見に参加した筆者は手を挙げて「情報開示のやり方がおかしい」と指摘としようとしたが、指名されなかったので、質問できなかった。そのため発表後、日産に対して「最終赤字になる理由を丁寧に説明しないのはよくない」と抗議した。

 正式な決算発表後、一部メディアに対するエスピノーサ氏とパパン氏による説明の場が設けられた。これは、約1時間の公式発表の場だけでは、説明しきれないこともあるので、バックグラウンドを丁寧に説明するために設けられたものだ。日産は毎回、こうした説明の場を作っている。記者に丁寧に説明して理解してもらう狙いがあり、これ自体はいいことだ。

 ただ、その説明会の冒頭、パパン氏が「最終赤字について質問が出ると思うので、こちらから最初に説明しておく」と前置きしたうえで、「過去の投資に対する減損処理や退職金関連で約4000億円の損失が出る」などと説明した。