ニデックが不適切会計疑惑で揺れている(写真:共同通信社)
電子部品大手のニデック(旧・日本電産)が、不適切会計疑惑に直面しています。同社は売上高2兆円を超す世界的企業ですが、発行体格付け引き下げの見通しが報じられるなど大揺れです。日本企業では過去にも東芝や山一證券、リッカー、オリンパスといった名だたる企業が不適切会計の中でも一段と悪質度の高い「粉飾決算」に手を染め、社会に衝撃を与えてきた歴史があります。では、そもそも粉飾決算とは何なのでしょうか。やさしく解説します。
ニデックで何が起きている?
京都市に本社を置くニデックは、総合モーターメーカーとして知られています。パソコンの冷却ファンやスマートフォンの振動モーターといった「精密小型モーター」、電気自動車(EV)の心臓部となる車体制御用コントローラーなどの「電気自動車用モーター」に強みを発揮。さらにはゲーム機やプロジェクター用モーターなど数多くの製品で世界トップシェアを堅持しており、2025年3月期の売上高は2兆6070億円に達しました。
その世界的企業に「不適切会計」疑惑が浮上したのは、ことし9月3日のことです。同社は、子会社「ニデックテクノモータ」の中国事業子会社で不適切な会計処理が行われた疑いがあると発表。ニデックは第三者委員会を設置し、経営陣の関与の有無を含めて調査を進めることになったのです。不適切な会計処理を疑わせる資料がすでに社内で見つかっているとしており、全容解明を急いでいます。
ニデックの発表後、各メディアは「ニデック、不適切会計の疑いで第三者委 経営陣の関与示唆する資料も」(日本経済新聞)、「ニデック子会社、不適切会計疑い」(読売新聞)、「ニデックが不適切会計か 第三者委を設置」(朝日新聞)などと一斉に報道。ニュースは海外にも広がりました。
ニデックの実態については第三者委員会の調査を見守るしかありませんが、ここで「不適切会計」「不正会計」、そして「粉飾決算」「逆粉飾決算」の違いを押さえておきましょう。
