ノーベル平和賞の受賞を切望するトランプ米大統領(写真:AP/アフロ)
ノーベル平和賞の受賞者が、例年通り10月の第2金曜日(10月10日)に発表されます。今年の注目は、平和賞の受賞を切望している米国のトランプ大統領です。大方の予想では、トランプ氏の受賞は「ない」ですが、トランプ氏自身は「私が受賞しなければ、それは米国への侮辱だ」と演説するなど、受賞への執念を消していません。トランプ氏がそこまで欲しがるノーベル平和賞とは、そもそもどんな賞なのでしょうか。歴史も交え、やさしく解説します。
「ノーベル賞」とは
ノーベル賞は、ダイナマイトの発明で名高いスウェーデンの発明家アルフレッド・ノーベルの遺言に基づく世界で最も権威ある賞です。1901年に創設されました。ノーベルの遺言に従い、物理学、化学、生理学・医学、文学、平和の5分野で「人類に最大の貢献をもたらした人々」に贈られます。
ノーベルの遺言には記載されていませんでしたが、1968年には経済学分野も追加されました。その結果、現在では6つの分野で受賞者が選ばれています。
各賞の受賞者は最大3人まで。受賞者には金メダルや「ディプロマ」と呼ばれる受賞者ごとに異なるデザインの賞状、そして1100万スウェーデン・クローナ(約1億5600万円)の賞金が贈られます。授賞式は毎年12月10日。ノーベルの命日です。
各賞の発表は毎年10月初旬。今年は10月6日(月)の生理学・医学賞から始まり、物理学賞、化学賞、文学賞、平和賞と続き、週明け10月13日(月)の経済学賞が締めくくりです。各賞の受賞者が判明するのは、いずれも日本時間の午後6時すぎから同8時にかけて。例年通り、この1週間は「ノーベル賞発表ウィーク」となり、多くのメディアが北欧から届くニュースに注目することでしょう。
ノーベル賞の受賞者は、どのようなプロセスを経て決まるのでしょうか。
ノーベル財団のホームページなどによると、毎年、各賞には約300人がノミネートされ、4月ごろまでに約20人、5月ごろまでに約5人に絞り込まれます。そのうえで10月の発表に至ります。
各賞の選考に当たるのは、「物理学賞」「化学賞」「経済学賞」がスウェーデン王立科学アカデミー、「医学・生理学賞」がカロリンスカ研究所(ストックホルムの医科大学)、「文学賞」がスウェーデン・アカデミー。そして「平和賞」だけはスウェーデンではなく、隣国ノルウェーのノーベル賞委員会が選考を担います。
では、ノーベル平和賞とはどんな賞なのかをもっと詳しく見ていきましょう。
