受賞を切望するトランプ大統領

 2025年の平和賞は誰になるのでしょうか。

 米国のトランプ大統領は受賞を切望しています。9月には国連総会で「私がノーベル平和賞を受賞すべきだと誰もが言っている。就任から7カ月で7つの戦争を終結させ、何百万人もの命を救ったのだ」と演説しました。トランプ氏はかねてから「私の名前が『オバマ』だったら10秒で平和賞を受賞できていたはずだ」などと主張。強欲とも言える姿勢を隠そうとしていません。

 平和賞を選ぶノーベル委員会は、ノルウェー国会が任命する委員5人で構成されています。ノルウェーの経済系ニュースサイト「ダーゲンズ・ナーリングスリーブ」によると、トランプ氏はことし7月、同国のストルテンベルグ財務相に直接電話をかけ、「平和賞がほしい」と迫ったそうです。

 9月末には、米国南部バージニア州の海兵隊基地で米軍幹部を前に演説し、「ノーベル平和賞を受賞できるだろうか。絶対にない。しかし、それは米国に対する大きな侮辱だ」と、なおも執着を見せています。

 現職の米大統領がノーベル平和賞を受賞したのは、1906年のセオドア・ルーズベルト氏、1919年のウィルソン氏。そして2009年には、「核なき世界」を唱えた民主党のオバマ氏が選ばれました。

 受賞にただならぬ意欲を持つトランプ氏に、果たしてノルウェーから良い知らせは届くのでしょうか。

フロントラインプレス
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