米国で建設されるOpenAIのデータセンター(写真:代表撮影/ロイター/アフロ)
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(山中 俊之:著述家/起業家)

 データセンターに関する記事は、ニューヨークタイムズでは頻出である。電力需要への影響が大きいことや安全保障上のテーマであることから、社会的課題と捉えられているためだ。大きなビジネスチャンスとしてビジネスに関連する記事として取り上げられることも多い。

 一方で、日経新聞など日本のメディアでは、産業インフラの建設といった視点で捉えがちで、取り上げられ方が違うように感じる。私が企業研修で行っている経営者、リーダーとの議論でも、日本の場合は直接データセンター事業に関わっている業界の方を除き、データセンター事業への関心がさほど高くないようだ。

 しかし、データセンターは、AI活用の進展で需要がうなぎ上りで、エネルギー・環境問題、安全保障、ビジネスが交錯する重要テーマでもある。本稿では、データセンターを取り巻く地政学的要因を検討して、今後の対応策を考えていきたい。

中東で広がるデータセンター建設熱

「データセンター事業に注力していきたい」。これは、中東から日本でのビジネス研修に参加した経営者の発言である。化石燃料に代わる事業への意欲が高いからか、中東のアラブ諸国の経営者はデータセンター事業について言及することが多いようだ。

 AI事業の発展に応じて、世界のデータセンター需要も急増している。2023年には世界で3700億ドル規模であった需要は、2029年には6200億ドル規模になる見込みだ(令和7年度版情報通信白書)。ChatGPTが本格的に利用されるようになった2023年以降、急拡大が続いている。

 データセンター市場は米国が大きく、中国やEU諸国、日本が続く。中東などを含む世界各国がしのぎを削る分野だ。

 冒頭の経営者の発言のように中東ではデータセンター事業に力を入れる動きが進む。例えば、サウジアラビアは紅海沿岸に世界最大規模のデータセンターを作ろうとしていることが報道された(Economist 2025年12月17日)。

 電気の安さや平地が豊富にあることが強みであるという。さらに、地震が少ないことも好材料であろうと思う。サウジアラビアに住んだ経験者としても、確かに広大な砂漠の有効活用として可能性があるとは実感する。