中東がデータセンターの最適地とは言えない理由

 もっとも、世界全体から見ると中東はデータセンターの最適地ではない。それは、地政学及び気候の問題があるからだ。

 地政学の観点からは海底ケーブルへの考慮が必須だろう。データセンターで使われるデータの多くは海底ケーブルを通る。中東ではスエズ運河、紅海、ホルムズ海峡などいずれも、地政学的に緊張している地域の近くを海底ケーブルが通ることになる。

 戦争や紛争が発生した際、海底ケーブルが切断される可能性は否定できない。これまでも故意の切断が疑われる事例は散発している。

 2024年には、紅海で複数のケーブルが切断される事件が発生した。イエメンの内戦の当事者であるフーシ派による切断の可能性が指摘されている。フーシ派はケーブルへの攻撃を一貫して否定しているものの、フーシ派の支配地域と海底ケーブルの陸地への接続点が近接しているため、フーシ派による切断の可能性は否定できない。

 現在、イエメン内戦の影響を受けている紅海は、海底ケーブルの修繕などができにくい状況になっている。紅海を通る海底ケーブルに何らかの不調が起きた場合、その原因を追究して対策を講じることが難しい。

 何も海底ケーブルの切断は紅海のフーシ派に限らない。中国やロシアは、敵国の海底ケーブルを標的とする攻撃ができるように虎視眈々と準備を進めていると言われる。ロシアは深海調査能力を高め、海底ケーブル切断能力を有する潜水艦を展開させている。中国も、他国の海底ケーブルを切断する能力を虎視眈々と蓄積しているとされる。

 海底ケーブルの切断は、周辺国のAIやインターネットに大きな影響を与えるため、その地域の経済が一気に減速する危険をはらむ。海底ケーブル切断の地政学的リスクへの対応が必須だ。