係争地であるアルナーチャル・プラデーシュ州の中印国境を警備するインド軍兵士(写真:AP/アフロ)

(山中俊之:神戸情報大学院大学教授/国際教養作家)

 6月に起きた中国・インド(以下、中印と表記)の国境での武力衝突は、約45年ぶりに同紛争で死者を出した。中印の軍事対立は混沌としたポストコロナ時代を象徴する事件であると思う。

 今回の中印国境紛争を読み解くには、(1)中印の世界史における位置づけと歴史的関係、(2)過去100年の中印関係、(3)コロナ禍を踏まえた未来予測──の3つの視点が必要であると思われる。

 私は、二国間関係を考える場合、(1)世界史における位置づけ、(2)過去100年程度(第1次大戦後くらい)からの現代史における両国関係、(3)これら2点に現在の世界情勢(例:ポストコロナ)を踏まえた未来予測といったフレームが有益と考えている。今回もこのフレームを用いて論じることにしたい。