
ビジネスや投資に欠かせない「会計指標」。うまく使いこなすことができれば、決算書からビジネスの成果や課題が見えてくる。本稿では『見るだけでKPIの構造から使い方までわかる 会計指標の比較図鑑』(矢部謙介著/日本実業出版社)から内容の一部を抜粋・再編集。実在する会社の決算書を比較しながら、会計指標とビジネスの結びつきをさまざまな視点で分析する。
関東を中心に展開する食品スーパー大手ヤオコーは、なぜ高い収益性を実現できるのか。B/S(貸借対照表)やP/L(損益計算書)を元に、同社の戦略を読み解く。
B/SとP/Lを組み合わせて分析する
「まったく違う」業務スーパーとヤオコーの儲け方

ここでは、これまでに取り上げたB/SとP/Lを組み合わせて、食品スーパーの決算書を読み解いてみましょう。
コロナ禍の巣ごもり特需で業績好調だった食品スーパー業界ですが、その後の反動減を経て再び業績が回復してきました。
人件費や電気代などの光熱費や商品の原価が高騰している一方で、商品販売価格の値上げの影響もあって客単価が増加していることも好業績に寄与しているといわれます。
消費者の節約志向が強まっている中での値上げには、買い控えを招くリスクがあるものの、2023年度の決算においてはプラスに働いた格好です。
ここでは、そうした食品スーパー業界から、2023年度決算で最高益を更新した大手の神戸物産とヤオコーの決算書を取り上げます。