写真提供:古賀庸介/共同通信イメージズ

 ビジネスや投資に欠かせない「会計指標」。うまく使いこなすことができれば、決算書からビジネスの成果や課題が見えてくる。本稿では『見るだけでKPIの構造から使い方までわかる 会計指標の比較図鑑』(矢部謙介著/日本実業出版社)から内容の一部を抜粋・再編集。実在する会社の決算書を比較しながら、会計指標とビジネスの結びつきをさまざまな視点で分析する。

「業務スーパー」を展開する神戸物産は、2024年10月期に連結売上高・営業利益ともに過去最高を記録した。店舗資産をほとんど持たない同社は、なぜ高い収益性を実現できているのか? 独自のビジネスモデルを、決算書や売上構成比から分析する。

B/SとP/Lを組み合わせて分析する
「まったく違う」業務スーパーとヤオコーの儲け方

会計指標の比較図鑑』(日本実業出版社)

■ なぜ神戸物産の原価率は高く販管費率が低いのか?

 次に、神戸物産の決算書についても見ていきましょう。次ページの図は、神戸物産における2023年10月期の決算書を図解したものです。

 B/Sの左側で最大の金額を占めているのは流動資産(1420億円)です。この流動資産には、現預金が930億円、売掛金が270億円、棚卸資産(商品及び製品、仕掛品、原材料及び貯蔵品)が190億円含まれています。

 次いで大きいのは有形固定資産(640億円)です。神戸物産の有形固定資産の内訳を見てみると、店舗の有形固定資産が多く計上されていたヤオコーとは異なり、業務スーパーの店舗の建物や土地は4店舗しか計上されていません。

 その他は本社や物流センター、食品製造工場やメガソーラー発電設備となっています。店舗が少ない理由については後ほど詳しく解説しましょう。